五輪強行「デルタ株と脆弱検査」募る日本の大不安

ワクチン接種間に合わないまま流行期とも重なる

注目したいのは昨年の日本では6月後半から感染者が増加し、8月初旬にピークを迎えていることだ。では、今年はどうだろうか。ここに来て感染者数が増え始めた。昨年同様、これから8月にかけて、感染が拡大してもおかしくない。東京五輪の時期にぴったり重なる。「ファクターX」が効かないデルタ株が流行すれば、感染者数はこれまでの数倍になってもおかしくない。

では、日本は何をすべきか。最優先すべきは、ワクチン接種の推進だ。幸い、デルタ株に対してワクチンは一定の効果がありそうだ。5月10日、アメリカ・エモリー大学の研究チームは、ファイザーとモデルナ製のワクチンを接種した人の血液を用いた研究で、通常株よりは抵抗性を示すが、臨床的には有効という結果をプレプリントサーバ「bioRxiv」で発表した。

日本の問題はワクチン接種が遅れていることだ。6月24日現在、1回でもワクチンを打ち終えた国民はイギリスが65%であるのに対し、日本は20%だ。主要先進国の中で断トツに遅い。ワクチン接種が進むイギリスですら、デルタ株による感染が再燃している。6月25日の人口100万人当たりの新規感染者数は188人だ。わが国は、ワクチン接種が十分に進まないまま、夏場に五輪を開催することになる。

人口当たりのPCR検査数、日本は台湾よりも少ない

ワクチン接種が間に合わないのであれば、検査を徹底し、無症状感染者を見つけ出し、隔離(自宅を含む)するしかないが、日本の検査体制はインドにも及ばない。6月23日現在、人口1000人当たりの日本のPCR検査数は0.44件で、インドの同1.31件を大きく下回る。

今年5月中旬、国内での感染拡大が判明した台湾は、人口1000人当たりのPCR検査数を5月12日の0.05件から、5月24日には0.75件とし、2週間弱で日本(0.73件)を抜いた。6月23日の検査件数は1.22件まで増加し、日本(0.44件)の2.8倍だ。国家が本気になれば、PCR検査数を増やすのは容易だ。厚労省が強い意図を持って、PCR検査を抑制していることがわかる。厚労省は、デルタ株の蔓延が危惧される現在も方針を変えるつもりはなさそうだ。

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