百年の紆余曲折が生んだ4.8リットル「超節水」トイレ《戦うNo.1技術》

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 しかし、机上の計算ほど簡単にはいかなかった。1周して戻ってきた水が新しく出てきた水とぶつかって飛び散る。ボウルの角度を間違えれば、水が便器を飛び出してしまう。数ミリ単位の試行錯誤が続く。通常、3~4回で完成する試作用の型枠は、50回も作り直させた。

完成した新型ネオレストに搭載した洗浄技術は、幾重も円を描いてボウル部分を洗う姿から、「トルネード洗浄」と名付けられた。

「セフィオンで表面がツルツルだから、水がうまく回ってくれた。セフィオンとトルネード、どちらか一つだけでは成り立たなかった。逆に、節水の要求がなければ、そんなもの作っても意味がない。トルネードはTOTOの技術の蓄積と時代の流れが生み出したんです」(林氏)。

新型ネオレストは爆発的なヒットを記録する。販売台数は初代の実に5倍。「作り手がいい商品を作れば、きちんと営業が利益を取って販売してくれる、という信頼が生まれた。そうなると、技術革新に対してドンドン魂が入るじゃないですか」。この頃からTOTOのパラダイムが変わり始めた、と張本社長は語る。

今年4月に発売した4・8リットル便器の最新機種GGで、トルネードはさらに進化を遂げている。従来の横回転に加え、ボウルの底で縦回転を発生させることで、より強力な水流「ツイントルネード」を生み出す。節水トイレは、いくつもの技術の進化を経てさらに発展を続けている。


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