百年の紆余曲折が生んだ4.8リットル「超節水」トイレ《戦うNo.1技術》

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 では、TOTOの技術優位性は将来にわたって盤石といえるのか。張本社長も林氏も「技術力で脅威を感じる競合相手はいない」と口をそろえる。ただ一方で、勝負すべき土俵そのものを変えようとするあるメーカーの動きを2人は警戒する。パナソニック電工(以下、パナ電)である。

パナ電の戦略は、トイレの家電化だ。得意の電子制御技術を用いて、住宅設備に家電のノウハウを積極的に投入している。その最たる例が、06年に発売しトイレの常識を覆した「アラウーノ」だ。

家電界からパナ電が急迫 主戦場はBRICsへ

便器の内部には、下水管からにおいが上がってくるのを防ぐため、S字に曲がったトラップという構造が作られている。トイレを洗浄する際には、このトラップを越えられる程度の水量が必要となるが、樹脂製のアラウーノはトラップ部分をモーターで動かし、少量の水で洗浄できる仕組みになっている。

今年3月のモデルチェンジでは、パナソニックグループの家電製品に搭載されている「エコナビ」を活用した節電性能を強化。住宅設備メーカーであるTOTOやINAXとは異なる、家電側からのアプローチで市場を侵食し、国内のタンクレストイレ分野ではINAXと激しい2番手争いを演じるまでに成長した。

パナ電の激しい追い上げの一方で、国内市場は成熟化で先細りの道を歩み続ける。今後の成長戦略には海外市場の新規開拓が不可欠だ。

TOTOは08年度段階で約600億円の海外売上高を、創業100周年に当たる17年度には1500億円まで拡大させる計画を組んでいる。日・米・中でのシェア1位獲得は最低条件にすぎない。むしろ、主戦場となるのは、新規参入となるブラジル、ロシア、インドの3カ国。生産拠点の増強やM&Aに最大1400億円を投じる予定だ。こうした新市場開拓の武器となるのが「ウチだから作れる商品」(張本社長)。その核となるのが、世界トップの節水技術であることは言うまでもない。

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