百年の紆余曲折が生んだ4.8リットル「超節水」トイレ《戦うNo.1技術》

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 TOTOは、この“1回で流しきる”技術で、コーラー(米国)やロカ(スペイン)といった欧米の一流メーカーを向こうに回し、圧倒的な優位性を誇る。02年に米国で実施された業界団体の調査では、TOTOのトイレが満足度でトップ3を占めた。09年に中国で行われた同様の調査でも、1位と2位を獲得している。

こうした節水技術の優位性こそが、中国の高級品市場でシェア4割(首位)、米国でもコーラーに次ぐ2位の座を勝ち取る原動力となった。

予期せずはまった袋小路 強敵サティスの登場

ただ、TOTOの節水トイレ開発の歴史も、つねに順風満帆だったわけではない。先進技術があだとなり、技術開発と製品投入のタイミングがかみ合わず、同業他社に後れを取る事態がつい最近まで続いていた。

TOTOにとって“呪縛”なったのは、93年に投入した節水トイレの走りともいえる初代「ネオレストEX」だった。「The便器」というプロジェクト名の下、当時のTOTOの技術の粋を集めて、次世代の便器として開発された商品だ。

独自の電子制御技術を取り入れることで、便器の洗浄水が噴出する箇所を自動的に変え、段階的に洗浄。当時主流だった便器に比べて、4割の節水を可能にした。さらに、便器に付きものだったタンクをなくし、水道に直結。トイレ空間にゆとりをもたらす「タンクレストイレ」という新しい概念を作り上げた。

最先端の節水技術は国内だけでなく、米国にも投入された。現地では92年にエナジーアクト法が施行され、トイレの洗浄水量は6リットル以下に規制された直後。節水を売りにするTOTOにとっては格好の追い風だった。同社の開発の重心は米国に移り始める。一方、ネオレストが「次世代便器」をうたったがために、国内の新製品開発は滞ることとなる。

TOTO社内で、技術の蓄積と新製品投入の歯車が空転を続ける中、01年4月、国内2位のINAXが新製品を発売した。「サティス」と命名された新型トイレの開発コンセプトは「トイレを応接間にする」。TOTOと同様にタンクレスを採用する一方、ネオレストよりも便器のサイズを小さくすることで、世界最小のトイレを実現した。

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