日本の「電車の空調」がどんどん快適になった訳

累計16万台、国内シェア6割超の三菱電機の仕事

当たり前のように快適な日本の電車の室内。それを支える空調の秘密とは?(写真:三菱電機提供)
この連載では、社業を極める「オタク」たちに焦点を当てている。そこに仕事を楽しむためのヒントがあると思うからだ。
今回インタビューしたのは三菱電機の古賀知樹氏だ。鉄道車両用空調の設計・開発をしている。これまでに新型山手線や新幹線を担当した、入社10年目の技術者である。最近の新型車両は空調が快適だと感じないだろうか。筆者は夏に“寒い”と感じることが格段に減ったと思っている。なぜなのか、理由を聞いた。

 

三菱電機は“車両を作らない鉄道メーカー”と呼ばれるほど、鉄道に搭載される電気機器を多く手がけている。空調に関していえば、同社の調べでは国内シェアは6~7割ほど。JRに限らず国内ほぼ全ての鉄道事業者に納入実績がある。1950年から作ってきた車両用空調は実に16万台以上に上る。

一口に車両といっても幅広い。新幹線、特急車、在来線、地下鉄、路面電車を初めとして、豪華列車として話題となった瑞風、ななつ星にも採用されている。日頃とくに意識していなくても、この記事を読んでいる人の多くが、三菱電機の空調が搭載された車両に乗ったことがあるだろう。

快適になった理由は「パワー」と「制御」

──近年、鉄道の空調が快適になったと思うのですが、どんな理由が考えられますか?

大きく3つの要因があると思います。わかりやすいところからお話しすると、能力が増していることがあげられます。乗客数や広さに対して、冷やす能力が単純に足りていなければ快適にできません。圧縮機を開発するなどして、大容量化が達成できていることが理由にあると思います。

──パワーがあるから冷やせていると。個人的には、夏に“寒い”と感じなくなったと思っていますが、この理由は?

制御の技術もかなり向上しています。「とにかく冷やせばいい」と考えていた時代もありましたが、今は「暑いと感じる乗客」「寒いと感じる乗客」など、いろいろな感覚があるので、さまざまな補正をしています。これまでに蓄積してきたデータやノウハウを使って、よりきめ細やかな制御ができているところが理由にあると思っています。

例えば、季節に応じて設定温度を補正しています。あとは、乗車率に応じて冷房を効かせるといったこともしています。

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