東京駅に蘇った「明るい赤レンガ」の秘密
まず「タイルとは何か」を説明しておきたい。定義をいうなら「建物の壁や床を覆う薄い板状の焼きもののこと」である。
東京駅丸の内駅舎はもともと鉄骨レンガ造りの構造体の表面に“化粧レンガ”という薄いレンガが貼られていた。この化粧レンガもタイルなのである。
東京駅復原は巨大なプロジェクトであるため、相当数の人が関わっている。後藤さんはそのうちの“1人の演者”にすぎない。ただ、この東京駅は関わった人の数だけドラマがあるように思う。“タイル”という1つのマニアックな視点から見た物語を聞いていこう。
──東京駅は2012年に工事が完了し創建当時の立派な姿に戻りました。1~2階はできる限り保存し、戦争で焼けてしまった3階部分を復原しています。ここに使われているのがLIXILの化粧レンガです。どんな経緯で発注があったのでしょうか。
2003年に見本焼きの条件が書かれた指示書が業界団体向けに発信されました。ここから全国のタイル業者が名乗りをあげることになります。色・テクスチャー・吸水率などが指定されていました。しかし最初の2年間はうまく焼けませんでした。理由は明確で“色”です。
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