43歳で警察官から格闘家になった"怪物"の現在 自他ともに認める「天職」から次なる道へ

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 最新
拡大
縮小
関根“シュレック”秀樹さんの人生とは?(写真:関根さん提供)
この記事の画像を見る(7枚)

映画『シュレック』をご存じだろうか。見た目は恐ろしいが、心優しい怪物・シュレックが主人公の物語である。

その怪物の名を掲げ、格闘家・プロレスラーとして活躍する人物がいる。関根“シュレック”秀樹さんだ。

身長174センチ・体重113キロの肉体、ぎょろりとした眼差し、もじゃもじゃの髪の毛……まさにシュレックさながらのド迫力である。そんな彼は、警察官として20年以上働き、43歳にして格闘家へ転向した。47歳の今も現役である。安定したキャリアを捨て、無謀にも思える選択をした理由は何だったのか。

いじめっ子たちをやっつけたくて

この連載の一覧はこちら

関根さんは1973年、静岡県磐田市で生まれた。家から少し足を延ばせば山や川があり、自然のなかで遊ぶのが日課だった。

4歳のとき、川遊びに行った帰りに交通事故にあい、右足がちぎれかけるほどの重傷を負う。手術で何とかつながったものの、足はどす黒く変色。思いどおりに動かすこともできず、引きずって歩くように。小学校に入ると、上級生から「気持ち悪い」と足を蹴られるなどのいじめを受け、負けん気の強かった関根さんは柔道場の門をたたいた。

「いじめっ子たちをやっつけようと思って、小2のときに柔道を始めたんです。わりとすぐに強くなりましたね。もともと運動神経がよかったのもあったけど、あいつらを絶対に倒す、っていう目的があったからだと思います。何となく習いに来ている子どもたちとは気構えが違いました」

たちまち頭角を現した関根さん。いじめっ子を退けるどころか、数々の大会で優勝をさらうように。中学・高校でも柔道に打ち込んだ後、柔道の名門である山梨学院大学に進み、「肉体の限界を超えた苦痛」と振り返るほど、厳しい練習漬けの日々を送る。道場では、立っている時間より、空中を舞うか、畳にねじ伏せられているほうが長いこともあった。

一方で、柔道部の同級生に熱狂的なプロレスファンがおり、その影響で関根さんもプロレスにハマっていった。数あるプロレス団体のなかで、関根さんをとくに魅了したのがUWFインターナショナルだ。エンタメ要素を排除した、緊張感のある真剣勝負に胸を躍らせた。大学卒業後は同団体に入門することを熱望したが、父親は猛反対し、警察官になるよう説得された。

次ページ仕方なく入った警察だったが…
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT