「刹那ですかね。NMB48での8年間を一言で表現するのなら」
それまでの質問には間髪を入れず答え続けていたが、この時は、少し考え出して言葉をみつけた瞬間があった。
「今を駆け抜けるというか、特に初期の頃はあまり自分の気持ちに気がつかないままに時間は過ぎていっていたので……。
本当、目まぐるしかったですね。一つひとつのことに、あまり『こう思ったな』って気持ちもなかったのですが、今は『生かされている、生きてるな』と日々感じています」
8年間率いたグループからの卒業を発表した山本彩
2018年7月30日、山本彩は東京・中野サンプラザで行われた全国ツアー「NMB48 LIVE TOUR 2018 in Summer」初日公演でグループからの卒業を発表した。
絶対的なエースとキャプテンを兼任し、先頭に立って道なき道を切り拓いた山本彩。
NMB48での8年間の日々、本格的なシンガーソングライターへの活動、挑戦する未来像など、単独取材で彼女の胸中を聞いた。本稿では集中連載全3部作の初回をお届けする。
「やっぱり(卒業発表した)直後とかは、結構慌ただしかったのですが、発表から1カ月以上経って、今は気持ち的には落ち着いてます。
周りもしっかり受け止めてくれて、残りの時間をとても大事に過ごしている感じがあります」
2010年10月、NMB48は、AKB48の姉妹グループとして結成された。かねて大阪は「アイドル不毛の地」と呼ばれており、構想段階から「大阪のアイドルで当たるはずがない」といった多くの反対意見があった。
そんな逆境を乗り越え、大阪で初めてブレークしたアイドルグループといえるだろう。
「NMB48が結成した8年前に、今の自分の姿は、まったく想像していないですね。もうなんならよくやったな、続けてきたなという感じです。でも、明確にやりたいことはだいぶ前からあったので。卒業したら“音楽”したいなという」
最近、ゴールデンタイムに放送する歌番組で大御所ミュージシャンとコラボする山本彩の姿を目にする機会が増えた。アコースティックギターで歌い手の音楽に寄り添い、エレキギターで歌い手のロック魂と融合する。
アイドル界において、そのポジションを築き上げたのは大きな功績といっていいだろう。
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