トップアイドルに選ばれた人間の日々は、私たちの想像以上に過酷だ。
月に1、2回休みがあるかないかの日常を過ごし、筆者の東京での取材時も肩の負傷を抱えながら朝から晩までさまざまな媒体の撮影、取材が続いていた。
その翌日には、大阪への生放送番組出演と東京と大阪の往復を何度も繰り返し、週末の握手会では、9時間にわたり3000人近くのファンと交流した。
家に帰ると寝落ちする日々が習慣化しているという。
そういった激動の中で、つねに高いモチベーションを維持できた理由はどこにあるのか?
「この活動は、すべて何かやったことに対して結果も出るし、反応が返ってくるし、それがつねにどのタイミングでも違うので。やっていて毎日が同じじゃないというのが、すごく刺激的で楽しくて。充実していた8年間だったなと。
だから新しい発見とか、やりたいことも見つかったし、目標が途切れなかったからうまくいけたのかなと思います」
ロックシンガーを目指した少女がアイドルのてっぺんに
そして、NMB48の8年間を振り返っていちばん得たことは自分自身の内面の克服だったという。
「ライブでの経験値、人とのコミュニケーションとかそういうことは、握手会をやったりして培えたことです。もともと人見知りだった自分が、こんなにも初対面の人と話せるようになったのは、このグループのおかげだったと思うので、そこは入ってすごくよかったです」
自身がつかんだ目に見える結果よりも、克服できた内面を真っ先に挙げた山本彩。
見るだけの夢はかなわず、追う夢はかなう。
ロックシンガーを志した1人の少女が、まったく違うアイドルの世界に踏み出して、何かを乗り越え今日まで成長してきた。それは、まだ知らない自分との出会いであり、挑戦でもあった。
栄光をつかんだ軌跡の物語は明日への自分へとつながっている。
「8年を振り返るなかで、今の自分を導いたターニングポイントといえば、何個かあると思うんですけど、いちばんはソロでの活動ができるようになったことですかね」
第2部「シンガーソングライターとしての渇望」に続く。
(文中敬称略)
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