──屋根に登って清掃していたとは……。かなり大変な作業ですね。
とくに洗いたいのは熱交換器という家庭用のエアコンにもある部品です。屋根上の空調であれば、屋根に登ってカバーを開けて洗浄します。床下に設置されている車両であれば、床下にもぐります。あとは車体の側面から清掃するタイプもあります。やり方は空調によって違いますが、屋根の上となれば安全性も必要ですし、床下は姿勢が悪くなります。ですので、よりメンテナンスしやすい設計を常に意識しています。
高級な車両は、空調も高価!?
──新幹線といった特別感がある車両は、空調も違うのでしょうか?
新幹線などは高いお金を払って乗ることもあって、高い信頼性や機能を求められると感じます。弊社の製品で「ロスナイ」という熱交換機能付きの換気扇があります。通常、住宅や会議室で使う商品なのですが、新幹線にはこれを搭載しているものがあります。換気を入れるときには、当然、夏場には熱い空気が入ってきます。一方、出て行く排気はエアコンで冷えています。これをうまく熱交換をさせるような製品です。熱い外気が入ってくれば、その分空調はがんばらないといけないので、余計にエネルギーを使います。それが少し冷やされて入ってくるので、省エネ効果があります。
──省エネにもなるし、車内環境が安定しそうですね。
そうですね。熱い外気が入ってこないので制御しやすくなります。また、空調はがんばればがんばるほど音が大きくなってしまうので、低振動で低騒音な運転になるというのはあります。
──そういえば、鉄道の空調は換気をしていると聞いたことがあります。感染症対策でつけられた機能ではないと思うのですが、どういう意図で設計されたものなのでしょうか。
鉄道の場合は、狭い空間にたくさんの人が乗ることになります。人の呼吸で二酸化炭素がどんどん増えていくと、空気の質が悪くなってしまいます。換気をすることで、新鮮な空気を取り入れて、快適性を確保するという考えは昔からありました。それを空調が担っていることが多いです。
──換気についても、新しい技術が生まれているのでしょうか?
従来は「取り入れる」「取り入れない」のゼロかイチかでした。乗車している人数によって換気量を調整するというのもありました。これが最近は、空調装置にCO2センサー(二酸化炭素センサー)を取り付けて、その値によって換気量をコントロールするものが、まだ納入実績は少ないですが導入され始めているところです。鉄道会社のニーズや、世の中の情勢から新しい技術が生まれることもあります。
地道な改良の積み重ねが生む、快適な空調
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