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シルクらしさは「糸と糸が作る隙間」にあると発見
──合成繊維でシルクのような素材を作ることは、業界では永遠の課題だそうですね。増田さんは新技術“ナノデザイン”を開発され、それを使って2019年に製品化した「Kinari」は“限りなくシルク”といっていいような製品となっています。
Kinari を指でこすると絹なりと言って、キュッキュッと音がします。こういった天然シルクに近い特性を持ちながら、洗濯機で洗えて、プリーツ加工や撥水加工ができるなど天然にはない機能性を持っています。
最近は「見た目はきれいだけれども洗濯は注意してください」「機能はあるけれど着心地は悪い」では受け入れてもらえません。Kinariはその辺がうまくいっています。
──Kinariを開発するにあたって、どこからアプローチしましたか?
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シルクらしい素材は、50年以上にわたり社内の先輩方が培ってきたものです。いまさら究極のシルクを作れと言われても、正直しんどいと思いました。
ただ幸いなことに、分析機器がどんどん進化しているので、天然シルクのよさをもう一度しっかり調べてみようと考えました。そこで、布になった天然シルクは空気を通しやすいという特性に気づきました。糸と糸の間に空間ができていて、この空間に特徴がありました。この特徴が出るような糸はどんな断面をしているのかを考え設計しました。
──そもそも、天然のシルクの糸の断面はどういった形をしているんですか?
綿・シルク・ウールといった天然繊維の糸を見ると、それぞれの生態が作った特徴ある形をしています。例えば綿は真ん中に穴があいた断面をしています。シルクは三角形のゴツゴツしたような形です。機能があるところにはすべて繊細な細工がなされているものです。
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