コロナ禍で積極採用、タクシー大手が狙う果実 業界2位の国際自動車社長が語る生き残り方

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――1000人採用を目指すなど、女性ドライバーの採用にもいち早く注力されていますよね。

女性の社会進出が進み、タクシーを利用する女性の方が占める割合が増えてきたということがその理由に挙げられます。

でも、実態として女性の利用者の方は男性がドライバーだとマンションではなく、その近くのコンビニや信号のところで降ろしてほしいという声が多かった。それが女性のドライバーだと安心して乗車できる、と。

創立100周年に当たる2020年に女性社員1000人を目指していましたが、残念ながら届かなかったですね(2021年1月末時点で432人)。

前提として、タクシー会社=男性の世界という印象を変えたいという信念を持っており、多い年は新卒採用のうち4人に1人が女性ですね。毎年20~30人程の女性に入社してもらっています。

業界全体でも深く考えるべき問題

班長制度を設けて、若くして管理職を任される方も増えてきました。育休や産休制度を取って戻ってくる方も多いし、お子さんが大きくなって戻ってくる方もいらっしゃる。時短勤務などを含めた就業規則を変えて多様化すべきところはまだまだありますが、これは単体ではどうようもない問題でもある。

また、女性の方が安心して働けるため、セクハラやモラハラ行為に対して乗車拒否が可能になるよう、国際では率先して運送規約も変更しましたが、業界全体でも深く考えるべき問題でしょう。

――とはいえ、タクシー業界で長く働く男性などは、急に女性が増えると戸惑いそうですね。

それはその通りで……。私も含め、四苦八苦した部分は会社としてもかなりありました。管理側も意識も変えていくという難しさもありましたね。シャワールームや更衣室、パウダールームなどのハード面の導入も試行錯誤をしながら実施してきました。

一番難しかったのは同僚男性の意識と接し方でしたね。それなら、と専門家を招いて、男性管理職に向けて女性との接し方勉強会を開いた。さらに、抜本的に管理職の女性を積極的に増やそうと。

結果的に一つ言えるのは女性乗務員が職場に増えたことで、職場の雰囲気が大きく変わった。それは男性陣の意識が変わっていった、という部分が大きいと感じています。

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