コロナ禍で積極採用、タクシー大手が狙う果実 業界2位の国際自動車社長が語る生き残り方

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――バス、ハイヤー事業も展開されていますが、状況はどうですか。

最も厳しい事業はバスです。売り上げは前年の2割以下の月も多かったくらいで。やっと10、11月に前年の約35%の売り上げに戻りましたが、Go Toトラベル休止の影響で、12月に入って全部キャンセルになりました。

西川 洋志(にしかわ・ひろし)/1949年東京都生まれ。國學院大學経済学部卒業後、1972年4月に国際自動車に入社。ハイヤー営業マン、営業企画を経て、2000年に経理部長に就任。その後、不動産部長、経営管理本部副本部長、常務、専務を経て、2016年4月より現職(筆者撮影)

逆にハイヤーはずっと前年比で8割以上を堅持していますね。ウチでも役員さんの送迎数が実はそうとう増えましたよ。コロナ禍で電車を使いにくい影響で、前年比にすると月間で100本近く増えている。

売り上げ的にも上がってきて85%水準まで近づいたけど、その一方で役員クラスの方も自宅仕事の割合が増えてきているという懸念材料もある。正直、今後どう動くかはまったく読めないですね。

――タクシー業界全体で、ここ1年間で印象に残ったことはありますか。

コロナ禍の1年で、アプリ配車の割合が爆発的に伸びたことですね。特に去年4月はそれが顕著で、都内では業界配車の割合が倍近くまで跳ね上がった。自社アプリのフルクルも夏前までは前年比で200、300%という水準でした。夏頃から少し陰りが見えましたが、それでも乗車回数が圧倒的に減っている中でこの数字ですから、アプリの存在感が印象的でした。

年100~150人に採用は継続

――4月度の新卒採用、中途採用、退職者などの人の面での影響は出ているのか。

どうしてもここまでの状況になると、退社される方も一定数はいます。コロナという大きな流れに関してはどうしようもない面もあります。ただ、採用に関しては引き続き維持していきます。4月入社の新卒は約120名を予定しており、中途も例年通りの採用を行っていきます。

今、都内のドライバーの平均年齢が59歳で、当社はそこから10歳も若い49歳なんですね。乗務員の絶対数も多い中でここまで引き下げられたのは、新卒採用のドライバーが900人ほど残ってくれているからです。また、新卒の3年以内の離職率も20%を切り、全業種的にもかなり低い数値であるという自負もあります。

不況になるとタクシー業界に人が集まるという面もありますが、だからといって多く採るという発想はない。1年間に100~150人の間の採用を継続していこうというのがわれわれの目標で、そこは崩していません。

人は採ることよりも、育てることにマンパワーがかかってきますし、これまでの経験を踏まえると、この数字を越えて採用をしても育て上げることは難しい。ホスピタリティやマナーや接客、地理や機器操作など、現場を含めた研修は3~6カ月ほどみっちりやりますし、一人ひとりに時間とコストをかけています。

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