年収1000万円を超えるタクシードライバーは存在するのか――。一部大都市圏に限定され、その中でも上位1%にも満たないといわれる割合だが、高所得ドライバーは確かに生き残っている。
彼らはどのように売り上げを上げているのか。前後編2回に分けて、個人、法人の業界トップランナーの肖像を紹介していく。
コロナ禍で2極化するドライバーの収入
運に左右されると思われがちな、タクシードライバーの収入。だが、この認識は大きな間違いだ。
いわゆる「稼ぐドライバー」は緻密な計算や分析の下、コロナ禍の中でも売り上げを確保している。外出自粛などによって全体のパイが減っている中で、ドライバーたちに格差が生じているのも現実である。
「都内に限れば、個人の一部、法人の各営業所のエースと呼ばれる人たちは、年収1000万円は超えてきますね」
取材を通して知り合った、ある都内のタクシー会社の幹部はこう断言する。この幹部によれば、一部の稼げるドライバーに仕事が集中しており、彼らの仕事術には明確は差異があるという。
羽田空港国際線ターミナルを出たタクシー乗り場に、尋ね人はいた。お盆どきの取材当時、羽田着の国際線は1日にわずか4便。羽田空港はゴーストタウンと化し、人の出入りもほとんどなかった。
そんな状況にもかかわらず、タクシー乗り場では客待ちのタクシーが列をなしていた。だが、列はいつまで経っても動かず、ドライバーの大半は休憩時間とばかりに車中で眠りについている。
そんな中でひときわ目立つ、大型のアルファードから降りてきたドライバーがいた。
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