新卒採用が、ついにバブルの域に達しようとしています。
リクルートワークス研究所の調べによると、来春2015年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.61倍と、前年の1.28倍より大幅に上昇。まさに採用が困難な状況になってきました。もはや、リーマンショック前を超えて、バブル時代のような求人環境に向かう気配さえ出てきました。企業にとって、しばらく人材確保が厳しい時期が続きそうです。
この状況下、いったい企業はどのような採用戦略を取るべきでしょうか。
経団連の倫理憲章に従うべきか、否か
まず中小企業(300人以下)では新卒採用の求人倍率は4倍を超える状況。もはや、「簡単に採用はムリ!」とあきらめの境地にあるかもしれません。ある企業では、春先に内定を出したものの、全員が辞退をしたそうで、中途採用、外国人などへ採用を広げ始めています。
では、大企業はどうか? できるだけ早く学生に接触して、自社に対して関心の高い学生を増やしたい。そのために、競合となる大企業より早期にアクションを起こしておきたいと考える会社が多いようです。
この「早期アクション」のタイミングですが、いったいどの会社が先陣を切るか?
これは長年、話題にされてきたテーマです。銀行・商社・メーカー……と、各社の動向を見極めて、自社だけが取り残されないように意識した、人事部の戦いが毎年のように行われてきたわけです。当方も、前職であるリクルート社時代は、「ついに銀行が動きたしたようだ」などと、学生採用に対して敏感だったことを思い出します。
ただ、行き過ぎた早期アクションを抑制し、ある意味「横並び」の採用を徹底させようとする動きがあります。それが経団連の倫理憲章です。
倫理憲章とは新規学卒者の「採用選考に関する企業の倫理憲章」のこと。「就職協定」に代わるものとして、日本経団連が中心になって定めた、新卒者の採用活動に関するガイドラインです。
「卒業学年に達しない学生に対して、面接などの実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」という一文が盛り込まれており、大学4年生まで選考をしないことで、会員企業の半数が同意をしています。もちろん、同意していない企業もありますが、これに合わせてリクナビなどの就職サイトもオープンしますので「早期接触」をするのは至難の業となっています(ちなみに余談ですが、2016年卒では選考開始を大学4年の夏に後ろ倒ししようとする動きすらあります)。
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