人材紹介会社27社に行ってわかったこと
人材紹介や転職エージェントと呼ばれるサービスを提供している個人や法人は、どのくらいの数があるかご存じですか? 数社? 数十社?
……実は、東京都内だけに限っても、大小含めて数百社あるのです。
僕は大学を卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社。後に、楽天イーグルスの創業メンバーとして、チームの運営や各事業の立ち上げに携わり、多くの方々に助けられながら、球団経営においては不可能とされていた初年度から黒字化することができました。そして、さらなるチャレンジを求めて、2007年に楽天野球団を退社。そこで考えたのが、「インターネットの力で世の中をもっと面白する仕事に携わりたい」ということだったのです。
手掛けてみたい仕事に就くことが可能なのであれば、起業にとらわれず、組織に属して新規事業を立ち上げるのもひとつの選択です。そう考えた僕は、友人のアドバイスを基に転職サイトに登録してみました。
やるならとことんやりたい僕は、27の人材紹介会社に登録をし、ヘッドハンターと呼ばれる方々27人にお会いして、求人情報を出してもらいました。すると、27人すべてがまったく異なる情報を出してきたのです。
「南さんには、この仕事がぴったりです! これしかありません!」
自信満々に情報を出してくれた27人のヘッドハンター。全員が、求職者である私の経験や希望を踏まえたうえで、仕事を紹介してくれました。それなのに、得られた情報はバラバラです。しかも、社会を変えられるような事業をつくりたいと考えていた僕は、希望をかなえられる職場であれば、企業規模や勤務地については問わないと伝えましたが、紹介された案件はいずれも大企業のものばかり。
ということは、これだけが自分の選択肢だと判断してもいいのでしょうか? 都内に数百ある人材紹介会社すべてに登録し、あと数百人のハンターに会うことができたら、もっともっとたくさんの選択肢と出合えるのではないでしょうか? 27の選択肢を前に、僕はふと考えました。
本当のお客さんは誰だ?
人材業界のビジネスモデルは、求人を依頼した企業からおカネを受け取り、求職者に仕事を紹介するというものです。ヘッドハンターの方々は求職者をお客様として扱ってくださいますが、彼らの給料の出どころは求職者ではなく、求人を出した企業です。
一般的な人材紹介料は紹介者の初年度年収の30~35%が一般的です。ということは、たとえば300万円と200万円のフィーがかかっている案件を持っている場合、求職者には300万円のフィーの案件(年収の高い案件)を勧めるのが自然ではないでしょうか?
もちろん、本気で求職者のことを考え、フィーのことは抜きでその人にぴったりの仕事を紹介してくださる、すばらしいヘッドハンターもいらっしゃいます。ですが、あくまでもビジネスとして割り切った場合、求職者はお客様にお届けする大事な商品であり、本当のお客様は企業側だというのが人材業界のビジネスモデルであるということに、僕は気づいてしまったのでした。
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