企業と個人が直接、やり取りできるようになった
転職市場が活性化している背景には、転職サイトやSNSなどのウェブツールの広がりもある。企業と個人が直接、接触できるようになった。
たとえば、「ビズリーチ」や「リンクトイン」「ウォンテッドリー」。登録すると、企業は登録者の中から欲しい人材を探して、直接、アプローチできる。個人は登録企業の中から興味のある企業を見つけて、直接、アプローチできる。こうして「ダイレクトリクルーティング(直接採用)」が可能になった。
「ビズリーチ」は管理職とグローバル人材に特化した会員制の転職サイトだ。2009年にスタートし、現在の登録会員数は30万人。30~40代が7割を占め、平均年齢は43歳。
2013年9月から2014年2月までの半年間でみると、新規会員数が毎月、前年同月を上回る勢いで伸び続けている。転職成功者数も毎月、前年同月を毎月上回り、2014年2月は390%増。
同社社長の南壮一郎さんがビズリーチを立ち上げたのは、自身の転職活動で感じた人材紹介業界に対する問題意識からだ。
「それまでの人材紹介業界は、人を探している企業と、仕事を探している求職者の間がブラックボックス化していて、企業と求職者が直接、やり取りすることができなかった。企業は人材紹介会社が紹介する人の中から選ぶしかなく、求職者も人材紹介会社が紹介する企業の中から選ばざるをえなかった」
人材紹介会社が両者の間をブラックボックス化しているのは、「転職成功者の初年度年収の30~35%の手数料を受け取るビジネルモデルだから」と、南さんは考える。そのため、求職者をなるべく高い年収の企業に転職させたいという意識が働く。もし大企業に勤めていた人が、中小企業やベンチャー、地方の企業を希望しても、給与の高い大企業の求人を紹介しようとする。
実際、南さんが外資系金融会社にいた30歳のとき、人材紹介会社に行くと、そのような対応を受けた。「世の中を変える仕事がしたい。大企業の子会社でも、ベンチャーでも、地方でもいい。年収もこだわらないので、とにかくやりがいが欲しい。成長しそうなビジネスにかかわりたい」と話したのだが、訪問した27社の人材紹介会社がすすめた案件は、すべて大企業の求人、しかも7割が外資系だった。「私を高い給与の企業に転職させたかったのかなと、今は思います」。
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