人以上に大切なものなどないけれど……
前回の記事で、「事業は人なり」という言葉を使いました。
この言葉は、創業以来、本当に数多くの経営者から教えていただいた言葉です。事業を運営していくのに、人以上に大切なものなどありえない。そんな気持ちが込められた言葉だと思います。
どんな組織でも、社員が一致団結したことによって、社会の情勢や景気の動向などの向かい風を切り抜けたというエピソードがあるはずです。多くの経営者は、そんなエピソードを誇らしげに語り、「事業は人なり」という格言をおっしゃいます。
実際僕も、仲間がいなければ乗り越えられなかったであろう壁を、仲間の力で何度も乗り越えることができました。だからこそ僕も、心の底から「事業は人なり」と信じています。
では、その「人」を採用するのに、どれだけの労力と時間を割いているでしょうか? 忙しい、時間が取れないことを言い訳にして、後回しになっていないでしょうか?
採用弱者こそ肉食採用を!
皮肉なことに、大企業よりもベンチャーや中小企業の社長さんのほうが、社員によって助けられた鮮烈な経験をお持ちであることが多いにもかかわらず、目の前の数字に追われてしまう傾向があります。時間がないなどを理由として部下にすべてを任せ、採用にまで手が回らないというのが現実のようです。
確かに、将来への投資である人材の採用は、会社の直接的な数字にすぐに貢献するとはかぎりません。
そこで、人材紹介会社や求人広告会社にすべてをお任せしてしまい、自社で採用戦略を考えるのをやめてしまうという会社が、少なからず見受けられます。これは、とても危険なことです。
もちろん、どういう人をどう採用していくのか、きちんと考えを持ったうえで外注するのは上手な利用の仕方と言えます。弊社でも採用の一部は人材紹介会社にお願いしています。ですが日本の企業では、採用を戦略ごとすべて任せてしまうというパターンを数多く見受けます。
この連載の初回でお話したとおり、人材紹介会社は求人企業からいただく報酬で成り立っています。ということは、求職者が興味を持ちやすい有名企業や、多くの報酬が約束されている大企業に優秀な人を紹介しがちだという傾向があることは否定できません。
ですから、ベンチャーや中小企業といった「採用弱者」こそ、自分たちの力で優秀な人を口説き落とす「肉食採用」に取り組まなければならないのです。
もし本気で事業を成長させていきたいと思うなら、「採用に費やす労力や時間がない」といった、できない理由を考えてはいけません。「労力も時間も情熱も、すべてを採用に注ぎ込むべき」なのです。
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