座間事件が映す「若年層の死因1位が自殺」の闇 20年以上改善されていない日本の大問題
もともとは、路上やネットを使って風俗のスカウトの仕事をしていた白石被告。それが「女性のヒモになりたい」と考えはじめ、スカウトの経験から「自殺願望のあるような女性なら言いなりにしやすいだろう」と判断したことが、自殺願望を持つ女性とつながるきっかけだった。
法廷で白石被告はこう語っている。
「ツイッターを使ってキーワード検索をし『疲れた』『さみしい』『死にたい』とつぶやいている女性をフォローしたりダイレクトメールを送ったりしました」
「何か悩みや問題がある人のほうが口説きやすいと思いました。操作しやすいということです」
そこで最初の被害者となる女性Aと実際に会う。だが、そこでは自殺を思いとどまらせる。
「もともとヒモになることや、お金を引っ張るという目的に対して、頑張って口説こうと思っていました」
彼女に貯金のあることはわかっていた。その金でいっしょに住むことを前提に、ロフト付きの部屋を借りる。ロフトがあれば、首を吊りやすいと考えたからだった。
すると彼女に、他の男の影を感じるようになる。いずれ彼女は自分から離れていく。そこで殺害を決意する。その手順は前述の通りだ。
金づるになりそうかを見極める
「継続的に、女性をレイプして、お金を奪おうと思いました。Aさんの件で約50万円と部屋が手に入り、いざ殺人や死体損壊をすると、意外とうまくいき、次もやれる自信がありました」
同じように、自殺願望のある女性を誘い出し、相手が金づるになりそうかどうか見極め、金づるになりそうもなく、本気で自殺する気もないと判断すると、いきなり首を絞めて性的暴行を加える。そして、ロープで吊るして、金を奪って、遺体を解体する。それを繰り返す。
裁判では、弁護側が承諾殺人を主張。被害者に自殺願望があったとして、「殺害方法や日にちを伝え、自らの意思で被告に会いに行き、死を実現させた」としている。
これに対して、検察側は「承諾はなく、単なる殺人」と主張。しかも被告人本人も、承諾はなかった、として弁護側と主張が食い違い、被告人質問でも弁護側の問いかけには答えようとしない、異例の展開になっていた。
被告人質問では検察の尋問に快活に答え、被害者全員について殺害直前の承諾は「なかった」と明言している。むしろ、最後の被告人質問で白石被告は、この期間のことについて、こう述べている。
「自分の快楽をずっと追い求めた生活だった」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら