家も危険!突発する「面識ない人に襲われる」怖さ 茨城一家殺傷事件だけじゃない理不尽な事件

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茨城県境町で、夫婦が死亡しているのが見つかった住宅(写真:共同通信)
2019年9月に起こった茨城県境町で一家4人が殺傷された事件で、茨城県警は5月7日、埼玉県三郷市に住む岡庭由征(おかにわ・よしゆき)容疑者を逮捕した。容疑者と被害者の接点は確認されておらず、動機は判明していない。ただ容疑者の行動をつぶさに見ていくと、過去の凶悪事件との共通点が浮かび上がってきた。
作家・ジャーナリストである青沼陽一郎氏のリポートの前編では、神戸連続児童殺傷事件、名古屋大学女子学生殺人事件との共通点を取り上げたが、今回のような「面識のない人」に殺傷される事件は珍しくなくなってきている。後編は、過去に起きた同様の事件についてリポートする。
前編:「茨城一家殺傷事件は「第2の酒鬼薔薇事件」なのか

茨城県境町の住宅で2019年9月に、会社員の小林光則さん(当時48)と妻でパート従業員の美和さん(当時50)が殺害され、子ども2人が重軽傷を負った事件で、現場から直線距離で約30キロ離れた埼玉県三郷市の無職の岡庭由征容疑者(26)が逮捕された。連休明けの5月7日のことだった。

「助けて」「痛い、痛い」

9月23日午前0時40分頃にかかってきた110番通報。電話の向こうからそういう美和さんの声がして、1分ほどで切れた。警察から折り返したが、応答はなかった。

所轄署員が駆けつけると、2階の寝室の布団の上で、小林さんがあおむけ、美和さんが横向きに倒れて死亡しているのが見つかった。2人の顔や首、胸に鋭利な刃物による多数の刺し傷があり、死因は失血死だった。

2階の別室にいた当時中学1年生の長男(14)は両足と腕を切られて重傷。同じ部屋にいた当時小学6年生の次女(13)も「スプレーのようなものをかけられた」と話し、両手の痛みを訴えていた。当時大学3年生の長女(22)は1階で寝ていて無事だった。

犯行現場は最も近い民家まで数百メートル離れている

場所は、うっそうと茂る雑木林の中にある一軒家。周囲には畑だけが広がり、最も近い民家までは数百メートルも離れている、いわゆる「ポツンと一軒家」だった。

住宅1階の脱衣所の外壁に、よじ登ったとみられる足跡があり、脱衣所の無施錠の窓から犯人は侵入、1階の部屋に立ち寄った形跡がないことから、直接2階に昇って夫妻を襲撃したものと見られていた。

しかし捜査は進展せず、その状況から2000年末に発生して未解決の世田谷一家殺害事件を彷彿とさせた。

それが発生から約1年7カ月を経ての岡庭容疑者の逮捕で、事件は急展開することになった。しかし、事件現場から直線で約30キロも離れた三郷市に住む岡庭容疑者と、小林さん一家との接点は今のところ確認されていない。

そうすると、状況からして、被害者は見ず知らずの男に真夜中に自宅に忍び込まれ、理由もわからないまま、就寝中にいきなり襲われたことになる。こんな不条理なことがあっていいはずもない。

ところが、こうした事件はここ数年で相次いでいる。それどころか、今回とまったくそっくりな事件がある。

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