トランプが劣勢の「フロリダ」で大逆転した真因 アメリカを南下して見えてきた知られざる現実

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フロリダ州マイアミの集会で、トランプ大統領を写そうとスマホを掲げる支持者(写真:筆者撮影)
11月3日に投開票されたアメリカ大統領選で共和党のドナルド・トランプ大統領は、世論調査で劣勢が伝えられていた大票田フロリダ州で民主党のジョー・バイデン候補を下し、接戦に持ち込んだ。世論調査が軒並み外れた2016年を彷彿とさせる展開だが、なぜトランプ氏は劣勢予想を跳ね返すことができたのか。アメリカの移民問題に迫った『エクソダス: アメリカ国境の狂気と祈り』の著者で、2019年にボーン・上田記念国際記者賞を受賞したジャーナリストの村山祐介氏が現地からリポートする。

2000年は「法廷闘争」の舞台に

フロリダ州は前回の大統領選で、トランプ氏が11万票(1.2ポイント)の僅差で獲得した激戦区だ。投票日前日の11月2日時点で、政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した世論調査平均では、バイデン氏に0.9ポイントのリードを許していたが、開票結果では約38万票(3.4ポイント)上回って連勝した。

2000年に共和ブッシュ、民主ゴア両候補が数百票差でせめぎ合い、法廷闘争に持ち込まれたこともある接戦続きのフロリダ州では「圧勝」(地元紙マイアミ・ヘラルド)と受け止められた。フロリダ州を落とすと後がなかったトランプ氏は踏みとどまり、その後の一方的な「勝利宣言」への地ならしになった。

この票差はどこから来たのか。

トランプ、バイデン両氏の得票傾向を67ある郡ごとに2016年と比べてみると、大きな差はほとんどない。そのなかで突出しているのが、最南端の大都市マイアミの南半分をカバーするマイアミ・デイド郡だ。

大群衆に向かって拳を振り上げるトランプ大統領=11月1日、マイアミ(写真:筆者撮影)

この地で前回29.4ポイントも水をあけられたトランプ氏は今回、約20万票も上積みしてバイデン氏に7.3ポイント差まで迫った。この上積み分が票差の大半を占めたことになる。

カギを握ったのは、フロリダ州では4人に1人を占めるヒスパニック票だった。

CNNの出口調査によると、トランプ氏が2016年はフロリダ州で35%にとどまっていたヒスパニック系の得票は今回、50%近くに急伸している。ヒスパニック系の支持が拡大した背景にあるキーワードは「反社会主義」だ。

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