「トランプ敗北」で起こりかねない深刻な危機 バイデン政権になる前の移行期間が危ない

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トランプ大統領は法廷闘争に持ち込む姿勢を見せているが(写真:REUTERS/Dado Ruvic)

騒然としていたアメリカ大統領選挙は、開票作業を行っている州も残っている中、前日の大波乱の様相から少し落ち着きを見せ始めており、ジョー・バイデン候補が、来年1月にホワイトハウスを引き継ぐ可能性が高まり始めた。

もっとも、今回の結果は「アメリカ・ファースト」の孤立主義と反体制ポピュリズムからなる「トランピズム(トランプ主義)」の強力な組み合わせが、アメリカの政治において強力な圧力になっているという明らかな証拠も、見せつけた。

景気低迷とパンデミックにより、25万人のアメリカ人が亡くなったにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領は、世論調査員や政治の情報通らをものともせず、2016年の得票を上回り、前回の衝撃的な勝利の再現にまで近づいた。共和党はいまや「トランプ党」となり、選挙前の予測では、下院では過半数ではないものの、上院では議席を獲得し、わずかな支配を維持するとしている。

政権運営はより困難を極める

今回の「赤」(共和党)と「青」(民主党)の戦いにより、アメリカの深い分断はより深刻なものとなった。

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最終的にバイデン候補が勝利したとしても、政権運営は過去4年間に見てきた以上に、より困難を極めることになるだろう。共和党は、上院と下院でより大胆に議事妨害をするようになり、民主党が発案する主要な立法改革を通過させることはほぼ不可能となる。

そうなれば、バイデンはトランプのように、大統領命令によって政権を運営しなければならない。大統領が強力な独立機関であり続ける外交政策では自らの行動の自由を保持できるかもしれないが、それ以外は多くの点で制約されることになるだろう。

「日本人と韓国人は、確約はできないが、バイデンが次期大統領になる可能性が高いことで、ある程度安心できるのではないか」と元アメリカ国務省東アジア・太平洋担当国務副次官補代理のエヴァンズ・リヴィア氏は話す。

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