「トランプ敗北」で起こりかねない深刻な危機 バイデン政権になる前の移行期間が危ない

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「ただし今回の選挙は、同盟国などに対するぶっきらぼうな軽蔑、同盟国を煽動する取り組み、権威主義者や権威主義への称賛にしばしば現れてきたトランピズムが、われわれの政治文化に深く根を下ろしていることを示した。

トランピズムへの忠誠によって、共和党は上院を保持し、下院で前進し、大統領選にほぼ勝利するに至った。共和党は今後数年間、その名のもとに集結し、そうすることで、バイデンの政権運営への取り組みを阻止することが期待される。悲しいことに、アメリカ政府の議事日程が機能障害となる可能性が高い」(リヴィア氏)

アメリカは完全に2つの国になった

選挙マップを見れば、アメリカが基本的に2つの国になったことが容易にわかる。1つは西海岸、北東および大西洋岸の地域からなる「グローバル・アメリカ」である。これらの地域の経済は世界市場と緊密な関係があり、移民の流入を必要なものとして受け入れている。むしろ歓迎しているほどだ。

もう1つはアメリカ・ファーストの国だ。田園地方である山岳の西側地域および南部を中心とし、その範囲は中西部を支配した「ラストベルト」と呼ばれる地帯まで広がっている。これらの地域が同調するのは、純粋な人種で構成されたアメリカの追求だ。

一部の州は、この2の”国”(いわゆる激戦州と呼ばれるところだ)を内包しており、過去2回の大統領選でわれわれが目にしたように、今やこうした州がアメリカの大統領選の勝敗を決定している。

ネットメディア「スレート」のコラムニストであるフレッド・カプランは、11月3日投票後に、「事実はこうだ。われわれの国はおそらく1850年代以降のいつの時代よりも明確に二分されている。イデオロギーや政治的な意見だけでなく、世界観の違いからだ」と書いた。

「分割された2つの国が別々の世界にいるようだ。一方の国は事実を観察し、科学を尊重し、少なくとも民主主義の目標と礼儀を重視する世界にある。もう一方の国は、そうではない世界にある。そしてこの2つの国は相互に軽蔑し合っている。トランプ氏は敗北に終わるかもしれないが、トランプ支持は見事に続いている」

エジソン・リサーチが実施した出口調査は、民主党の得票率増だけでなく、有権者内の分断線も反映している。バイデンは女性票では大勝して、男女間での得票率の差は13%に上り、マイノリティでも大差で勝利している(黒人の87%、アジア系とラテン系では3分の2の支持を得た)。また、30歳未満の若者はほぼ3分の2がバイデンに投票し、大学卒業者も確実に過半数がバイデンに票を投じている。人口動態の今後の変化を考えると、民主党の前途は明るい。

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