ジム・ロジャーズ「30年後の日本大変なことに」 債務の大きい国はひどい終焉を迎える
歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
私はつねに、歴史の流れを踏まえながら、数年先を見るようにしている。歴史の流れは、先を読む力、とりわけお金がどう動くかという未来を教えてくれる。成功したければ、将来を予測しなければならない。投資家だけではない。ミュージシャンであれ、サッカー選手であれ、会社員であれ、どんな世界でも成功したければ先を読むことが重要だ。私が2007年に家族でシンガポールへ移住したのも、来る「アジアの世紀」を見越してのことである。
重要なのは、「歴史は韻を踏む」ということである。これは作家マーク・トウェインの言葉だ。世界の出来事のほとんどは、以前にも起きている。まったく同じ出来事が起きるわけではないが、何かしら似た形の出来事が、何度も繰り返されている。戦争、飢餓、不況、外国人迫害、貿易戦争、移民問題──。これらの問題は、形を変えて何度も起きているのだ。
現在と類似した問題が以前どのようにして起きたのかを理解すれば、現状がある程度把握できる。それがどのような結末になるかもわかる。よく「歴史は繰り返す」と言うが、まったく同じことを繰り返すのではない。韻を踏むように、少しずつ形を変えながら反復をし続けるのだ。
例えば、1990年代後半から2000年にかけて、アメリカではバブルが起きた。住宅と金融を中心にした資産価値が高騰したのだ。不動産業界の人間は案の定、「今度は違う」と言った。日本人はその頃、資産をたくさん持っていたものだから、不動産を買うべくすぐさまニューヨークへ飛んでいった。住宅価格がさらに高騰すると安易な考えを持っていたのだろう。
そのようにアメリカ全体がバブル景気で盛り上がっていたさなかは、経済紙の「ウォール・ストリート・ジャーナル」でさえも、「経済が新時代に突入した」というような報道をしていた。「ザ・ニューエコノミー」という新しい用語を作ってしまったくらいだ。
しかし、歴史を学んだ人には、「明らかに前回のバブル崩壊と同じ兆候がある」ということはわかっていた。というのもその約90年前、アメリカは同じようなバブルを経験しているのだ。1920年代、第一次世界大戦で疲弊したヨーロッパは、かつての勢いを失っていた。
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