4年間でほとんど構図が変わらなかった
――接戦になるかもしれないとは言われていましたが、想定以上にトランプ大統領が健闘しています。法廷闘争になるのでしょうか。
結局、4年前とほとんど変わらない構図になっている。前回の接戦州を見ると、アリゾナはバイデンがひっくり返したが、それ以外の州ではトランプが善戦し、もつれ込んでいる。バイデンがすっきりと勝つシナリオはなくなった。トランプ勝利か、あるいはなかなか決まらないか、ということだ。
今週いっぱいで開票はできると思うし、中西部の郵政投票が遅れて開き、ここはバイデン有利とされるが、これだけ僅差だと、その行方も不透明だ。トランプ大統領は黙っていない。州が数えたとおりに州知事と議会が決められるか、州知事の決断にかかってくる。12月8日までに州が確定した選挙人は、その後の手続きで覆せないのが原則なので、各陣営が法廷闘争に出た場合、そこまでに決められるか。ここを越えて、1月6日の連邦議会の決定までもつれたら、下院が決定するが、各州1票の投票なので、多数党の民主党が有利とはいえない。
――国民の間の分断がより鮮明になる形になってしまいました。騒乱状態になることが心配ですね。
心配なのは、トランプが勝ちとなったときに、バイデンに投票した人たちがそれを受け止められるかだ。事前の世論調査でも、「自分が投票しなかった候補者が勝った場合にどうか」という質問に対して、バイデン支持者のほうが「angry」と答える割合は高かった。また、その場合、トランプは融和を図ろうとしないだろうから、怖い。逆にバイデンが勝ったら、反対の人々にも融和を呼びかけるだろうけれど。
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