トランプ善戦、年内に大統領が決まらないのか みずほ総研・安井明彦氏「4年間何も変わらず」

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予想を上回る善戦ぶり。混乱は避けられない(写真:REUTERS/Carlos Barria)
アメリカ大統領選挙の開票が進むが、バイデン優勢という大方の予想を裏切り、現職のトランプ大統領が健闘している。選挙人270の獲得が過半数(合計539)となるが、日本時間の3日20時(ワシントン時間06時)時点で民主党のバイデン候補224、共和党の現職・トランプ候補213だ。この結果をどう見るか、そしてこの先の展開は? アメリカの政治経済に詳しいみずほ総合研究所の安井明彦欧米調査部長に話を聞いた。

4年間でほとんど構図が変わらなかった

――接戦になるかもしれないとは言われていましたが、想定以上にトランプ大統領が健闘しています。法廷闘争になるのでしょうか。

結局、4年前とほとんど変わらない構図になっている。前回の接戦州を見ると、アリゾナはバイデンがひっくり返したが、それ以外の州ではトランプが善戦し、もつれ込んでいる。バイデンがすっきりと勝つシナリオはなくなった。トランプ勝利か、あるいはなかなか決まらないか、ということだ。

今週いっぱいで開票はできると思うし、中西部の郵政投票が遅れて開き、ここはバイデン有利とされるが、これだけ僅差だと、その行方も不透明だ。トランプ大統領は黙っていない。州が数えたとおりに州知事と議会が決められるか、州知事の決断にかかってくる。12月8日までに州が確定した選挙人は、その後の手続きで覆せないのが原則なので、各陣営が法廷闘争に出た場合、そこまでに決められるか。ここを越えて、1月6日の連邦議会の決定までもつれたら、下院が決定するが、各州1票の投票なので、多数党の民主党が有利とはいえない。

――国民の間の分断がより鮮明になる形になってしまいました。騒乱状態になることが心配ですね。

心配なのは、トランプが勝ちとなったときに、バイデンに投票した人たちがそれを受け止められるかだ。事前の世論調査でも、「自分が投票しなかった候補者が勝った場合にどうか」という質問に対して、バイデン支持者のほうが「angry」と答える割合は高かった。また、その場合、トランプは融和を図ろうとしないだろうから、怖い。逆にバイデンが勝ったら、反対の人々にも融和を呼びかけるだろうけれど。

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