4年前には成長よりも分配、格差拡大を止めるという議論があったが、むしろ最近ではこうした議論が消えてしまっていた。取り残された人々をどうするのか、という回答を示せず、とりあえずトランプを止める、としか言えなかった。前の時代のことで争う選挙であり、新しいアイデアを競う選挙ではなかった。
――大統領の座に加え、上下院も民主党が制するブルーウェーブも予想されていましたが、上院も接戦です。
獲れても50議席ギリギリだ。大胆な政策を行うための法案は通りにくくなる。コロナ後の景気対策などはどちらが勝っても通り、実施されるだろうが、例えば、大規模なインフラ投資とか、増税などは難しくなるだろう。
――アメリカの民主主義が揺らいでいると言われますが、これでは状況の改善が見込めなさそうです。
「国が信用できるのか」というのが問題だ。選挙の仕組みに問題があることは今に始まったことではないが、かつては「国への信頼」があった。今は、それがない。
構造改革に正面から取り組めるか
――今後の4年も国民の分断と国への不信感が続く?
トランプ再選の場合、コロナ禍前にトリクルダウン効果がなかったわけではない。新型コロナが上手く終息していけば、景気回復を再現できないわけではない。ただ、人種分断という問題の改善はまったく期待できないので、短期的な弥縫策にとどまる。
バイデンが大統領になった場合は、人種問題などの改善が期待できるが、経済成長できるのかという問題がある。成長より分配という場合も、ただ金持ちから取り上げて貧しい人に配るというのではダメで、全体の底上げができないと支持されない。先進国の多くはどこもそうだが、そこで思考停止になってしまう。教育が大事、などはよく言われることだが、本当に正面から構造改革に取り組めるのかが、勝負の分かれ目だ。
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