トランプ善戦、年内に大統領が決まらないのか みずほ総研・安井明彦氏「4年間何も変わらず」

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

4年前には成長よりも分配、格差拡大を止めるという議論があったが、むしろ最近ではこうした議論が消えてしまっていた。取り残された人々をどうするのか、という回答を示せず、とりあえずトランプを止める、としか言えなかった。前の時代のことで争う選挙であり、新しいアイデアを競う選挙ではなかった。

――大統領の座に加え、上下院も民主党が制するブルーウェーブも予想されていましたが、上院も接戦です。

獲れても50議席ギリギリだ。大胆な政策を行うための法案は通りにくくなる。コロナ後の景気対策などはどちらが勝っても通り、実施されるだろうが、例えば、大規模なインフラ投資とか、増税などは難しくなるだろう。

――アメリカの民主主義が揺らいでいると言われますが、これでは状況の改善が見込めなさそうです。

「国が信用できるのか」というのが問題だ。選挙の仕組みに問題があることは今に始まったことではないが、かつては「国への信頼」があった。今は、それがない。

構造改革に正面から取り組めるか

――今後の4年も国民の分断と国への不信感が続く?

トランプ再選の場合、コロナ禍前にトリクルダウン効果がなかったわけではない。新型コロナが上手く終息していけば、景気回復を再現できないわけではない。ただ、人種分断という問題の改善はまったく期待できないので、短期的な弥縫策にとどまる。

バイデンが大統領になった場合は、人種問題などの改善が期待できるが、経済成長できるのかという問題がある。成長より分配という場合も、ただ金持ちから取り上げて貧しい人に配るというのではダメで、全体の底上げができないと支持されない。先進国の多くはどこもそうだが、そこで思考停止になってしまう。教育が大事、などはよく言われることだが、本当に正面から構造改革に取り組めるのかが、勝負の分かれ目だ。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事