トランプ善戦、年内に大統領が決まらないのか みずほ総研・安井明彦氏「4年間何も変わらず」

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安井明彦(やすい・あきひこ)/みずほ総合研究所 欧米調査部長。1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、2014年より現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある(撮影:梅谷秀司)

――結局、世論調査のとおり、トランプ支持者はトランプ支持を貫いたという感じですね。

トランプ支持者はそのままで、バイデンが分断されたアメリカの溝を埋めることができなかったということだろう。4年前にトランプを信じた人たちから見れば、4年前よりも景気は良くなった。少なくともコロナ前の景気は良かった。公約どおりではなくてもトランプは頑張っているという評価。足元の景気が悪いのは新型コロナのせいであって、トランプのせいではないという考え方だ。

――バイデン候補はトランプ大統領の対コロナ政策を批判してきましたが、効果は薄かったようです。

トランプ支持者はマスクをしない、バイデン支持者はマスクをするといわれているように、コロナへの見方もそのまま二分されている。トランプ支持者はコロナ対策を一生懸命やったところで、コロナは消えず、経済を潰すだけだと思っている。共和党支持者はあくまでも経済成長を目指している。

「反トランプ」しか打ち出せなかったバイデン

――バイデンに魅力がなかったということでしょうか。

バイデンにはカリスマ性もないが、「反トランプ」しか旗印がなく、それだけでは有権者に響かなかった。分断はトランプに有利だ。共和党支持者は白人労働者を中心に主張も明快だが、民主党支持者は人種も主張もさまざまなので単純にいかない。政策でまとめにくいので、「反トランプ」しかなかった。

――過去の民主党の勝ちパターンは、新たな政策を掲げた人が颯爽と登場する形ですよね。

その通りだ。「大きな政府」という主張で戦うには、変わっていくこと、新しいことができるという色を出せないと戦えない。相手がトランプだからバイデンでもよかった、ということ自体が限界を示していた。

次ページ4年前よりも議論が後退
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