日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている 最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない
東洋経済オンラインを愛読している読者の中にはご存じの人も少なくないだろう。『日本人の勝算』(東洋経済新報社)の著者、デービッド・アトキンソン氏は日本在住30年のイギリス人。現在は国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社社長として、日本文化をサポートしている。
そのような立場から、アトキンソン氏はこれまでにも自著を通じて日本の将来を案じてきたが、今回、その語り口にはこれまで以上の緊張感がみなぎっているようにも思える。
その場しのぎの楽観論を唱えている場合ではない
ところが日本国内に蔓延しているのは、「今までの仕組みを微調整して対応すればなんとかなる」というような、その場しのぎの楽観論ばかり。危機感がまったく伝わらないからこそ、アトキンソン氏としても焦燥感を禁じえないというわけだ。
2019年10月に予定されている消費税の引き上げについても同じだ。その問題に関しては「社会保障の負担が重く、税収を増やさなければいけない。そのためには、税率を上げる必要がある」と説明されているが、それはアトキンソン氏の目には「固定観念にとらわれた、非常に次元の低い理屈」としか映らないという。
理由はいたってシンプルだ。日本の社会保障制度に関していえば、究極的には税率以前の問題だからだ。
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