日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている

最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない

③ 最低賃金と女性活躍

海外でも日本でも、最低賃金で働いている最も多くの労働者は女性だ。つまり女性活躍にとって何より大事な政策が、最低賃金の引き上げ。よって、安倍政権が本当に女性活躍を実現したいなら、最も早く効果が出る最低賃金の引き上げを実施すべきだという。

なお最低賃金を引き上げるなら、いわゆる「150万円の壁」を撤廃することが重要。本来なら、専業主婦を優遇すること自体をやめ、子どもの数を基にピンポイントで優遇する、真の少子化対策をとることが望ましいとしている。

先進国として日本は最も改革しにくい国

④ 最低賃金と格差社会

最低賃金は、格差社会を是正するための政策でもある。日本の場合、上位層の収入上昇より、明らかに収入の低い労働者の増加によって格差が拡大してきたが、格差社会是正の早道は最低賃金の引き上げ。

現状の日本の最低賃金の水準はあまりにも低いだけに、これを大きく引き上げれば大きな成果が期待できるわけだ。

⑤ 最低賃金と地方再生

アメリカは州別に導入しているが、欧州の場合は全国一律が基本。日本の現行の最低賃金も都道府県別に決められているのでアメリカに近いが、そもそもアメリカと日本とではさまざまな規模が異なる。

日本は国土も狭いうえに、交通網が整備されていて、人口もアメリカの3分の1程度。そのような国で最低賃金を都道府県ごとにバラバラに設定したら、労働者は最低賃金の低いところから、最も高い東京に集中してしまって当然で、事実そうなっている。

この悪循環から脱却するためにも、最低賃金を全国一律にすることを真剣に検討すべきだとアトキンソン氏は言う。

⑥ 最低賃金引き上げは「少子化対策」にもなりうる

日本の社会は厳しく、懸命に仕事をしてももらえる給料は少なく、楽しみもあまりない。そして、老後の生活も不安だらけだ。そんな中、今の社会制度に対する抵抗として子どもをつくらない選択をしている人も相当数いるはず。

だからこそアトキンソン氏は、最低賃金を引き上げ、その最低賃金のすぐ上の層にも段階的な効果が出れば、少子化問題も緩和されるのではないかという仮説を立てているという。

計算機をたたいてみれば、今の日本経済のあり方を変えないと国が滅びてしまうことはすぐにわかる。にもかかわらず、それに本格的に取り組んでいる人は少ないとアトキンソン氏は言う。諸外国に比べてより改革が必要なのに、先進国として日本は最も改革しにくい国だとも。

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