敗北を認めないトランプ大統領は何を狙うのか

「トランピズム」は死なず、「2024年」視野に活動

メディアがバイデン候補の当確を打った後、ホワイトハウスに戻ったトランプ大統領(写真:REUTERS/Carlos Barria)

ドナルド・トランプ大統領の任期は、アメリカ憲法修正第20条に基づき2021年1月20日正午に終了する。通常であれば、現職大統領はその時間帯に開催される後任大統領の就任式で演説を斜め後ろの席から聞いている。だが、トランプ氏はジョー・バイデン氏の大統領就任式を欠席するかもしれない。大統領選の開票作業を不正と訴え続ける同氏は、就任式時点でも正式に敗北を認めていない公算が大きい。

ジョージ・ワシントン初代大統領以降、約220年間、アメリカの政権交代は平和的に行われてきた。だが、今回はその伝統が断ち切られ、トランプが自らの失脚と同時にアメリカの民主主義を道連れにしかねないとの懸念が広がっている。

1月20日正午に一般市民となるトランプ氏が、仮にホワイトハウスを去らなければ不法侵入者として扱われる。トランプ氏が退出を拒否すれば、これまで体を張って大統領を守ってきた大統領警護隊(シークレットサービス)が同氏を拘束しホワイトハウスの外にエスコートせざるをえない。

だが、リアリティ番組「アプレンティス」のスターでテレビ映りを理解している同氏は、このような恥ずかしい光景が全米で放送されることは避けるだろう。トランプ氏は「冬のホワイトハウス」とも称される同氏が保有するフロリダ州の別荘「マールアラーゴ」に任期終了前に移動するとの臆測がある。

大統領選を終わらせないトランプ陣営

過去記事の一覧はこちら

アメリカのメディア各社が一斉にバイデン前副大統領の当確を発表した11月7日昼、首都ワシントンでは若者を中心とする民主党支持者が歓声を上げ、車のクラクションが鳴り響いていた。マーチングバンドが街中を行進し花火まで打ち上げられた。一緒にいた筆者の友人は、まるでニューオーリンズの謝肉祭「マルディグラ」のようで、2008年のバラク・オバマ前大統領当選時のワシントンの盛り上がりを上回る賑わいだ、と語った。

トランプ氏の敗北を喜ぶ観衆は、同日、ホワイトハウスを囲むフェンスに「お前はクビだ」というアプレンティスでの同氏の名セリフが書かれたバナーを掲げた。だがその頃、バージニア州のゴルフ場にいたトランプ氏は「選挙は決して終わってはいない」と声明を発表した。

確かにトランプ氏が主張するとおり各州政府は現在も開票作業を継続しており、過去の選挙と同様に正式な選挙結果確定には時間を要する。今週以降、各州が選挙結果を認定し始めるが、多くは月末となる見通しだ。さらには州政府による結果認定後も、選挙人による投票、州政府による票の連邦議会への提出、年明け1月6日の連邦議会での開票を経る必要があり、次期大統領の選出プロセスは正式には当面続くのだ。

次ページトランプ大統領の法廷闘争に勝ち目はあるのか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 最新の週刊東洋経済
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
地銀 最終局面<br>首相が追い込む崖っぷち

遅々として進まなかった地銀再編。しかし菅義偉首相は明確に踏み込みました。全国の地銀はどう動くのか、現状を徹底取材。今後起こりうる地銀再編を大胆予測。さらにビジネスモデルや行員の働き方にも注目し、地銀が生き残る道について探りました。

東洋経済education×ICT