修正第22条が制定される前ではあるが、アメリカ史では大統領を務めた後、4年間のブランクを置いて再選された大統領がいる。第22代(1885~89年)、第24代(1893~97年)の2回、大統領を務めたグロバー・クリーブランド大統領だ。
2020年大統領選ではトランプ氏は7000万票以上獲得し、2016年大統領選で自らが得た票を700万票以上も上回る。選挙戦を通じて国民の4割程度はトランプ氏をつねに支え続けた熱狂的な支持者だ。
共和党内で受け継がれる「トランピズム」
トランプ氏が再選を目指さないとしても、「トランピズム」は終わっていない。トランプ本人に惹かれて投票した有権者も多くいるであろうが、トランプ氏が掲げた反エスタブリッシュメント、反移民、労働者重視といった「トランピズム」は共和党内で受け継がれていくであろう。
仮にトランプ氏が次期大統領選に出馬しない場合、同氏の子供ドナルド・トランプ・ジュニア氏、イバンカ・トランプ氏などが出馬する可能性もあろう。またニッキー・ヘイリー前国連大使、トム・コットン上院議員、ジョシュ・ホーリー上院議員などが、バイデン当確後もトランプ氏の言動を支持する背景には、彼らが2024年大統領選出馬を狙いトランプ支持層を取り込もうとする思惑があるからであろう。
2024年の自らの出馬のため、あるいはトランプ氏の後任となりうる共和党のリーダーに対し影響力を行使し続ける目的で、トランプ氏が敗北宣言しないことはつじつまが合う。そもそも2016年大統領選出馬に至ったトランプ氏の人気を高めたのは、オバマ前大統領の出生地について疑った「バーサー運動」であった。
2024年大統領選では共和党内で反トランプ派が登場するであろうが、トランプ氏あるいはトランピズムを標榜する共和党候補は、「2020年大統領選の不正疑惑」の主張から始動するに違いない。トランプ氏はそのためにバイデン氏に、非合法的な大統領というレッテルを貼ろうとし続ける。トランプ氏は外野に出て、注目度は大幅に低下するものの、バイデン氏の政権運営に少なからず影響を及ぼしかねない。
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