敗北を認めないトランプ大統領は何を狙うのか

「トランピズム」は死なず、「2024年」視野に活動

トランプ陣営の提訴内容は開票作業の透明性を求めるものや死者が投票したという疑いなどで、大勢に影響はないものが多い。したがって、バイデン当確が覆されることはない。だが、トランプ陣営の真の狙いは裁判で勝訴することではなく、法廷闘争に訴えることで、選挙制度に対する不信感を共和党支持者の間で高めることのようだ。11月7日、ビル・ステピエン選対本部長は全米各州にいる支持者に対し、トランプ氏を支持するデモ活動参加に備えるよう呼びかけている。

2000年大統領選のときには、共和党はブッシュ候補が正当に勝利した選挙であって、劣勢にあったゴア候補が選挙を盗もうとしているといった広報戦略をとり、国民にアピールすることに成功した。今回は劣勢にあるトランプ氏が、大差でリードするバイデン氏が選挙を盗んだと主張している構図である。

しかし、トランプ氏が越えなければならないハードルは、当時のゴア氏よりも高い。フロリダ州1州のみで537票の僅差が争点となった2000年と異なり、トランプ氏は複数の州で数千票、あるいは数万票の差という結果を覆さなければならない。再集計でも大統領選の勝者が変わることはない見通しだ。

裁判が長引くことで12月8日のセーフハーバーまでに各州で選挙結果を確定できず、州議会の政治的な介入などで情勢を変えることをトランプ陣営は狙っているとの見方もある。しかし、例えばトランプ氏が必ず獲得しなければならないペンシルベニア州の州議会は共和党が多数派であるものの、選挙結果に介入しない方針をすでに示している。したがって、トランプ陣営はすでに勝ち目はない。

トランプ氏はまさかの「2024年再出馬」も

トランプ氏はジェラルド・フォード大統領、ジミー・カーター大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領に次ぐ戦後4人目の再選に失敗した大統領に仲間入りする。だが、トランプ氏の政治人生に終止符が打たれたと捉えるのは大間違いかもしれない。

2024年大統領選にトランプ氏は再び出馬する可能性も残されているからだ。アメリカ憲法修正第22条では、大統領職には2回を超え選出されてはならないと定めている。だが、その2回を大統領を2期連続で務めなければならないとは決して記載されていない。仮にトランプ氏が2024年に出馬した場合、大統領選では78歳となるが、バイデン氏の現在の年齢を1歳上回るにすぎない。

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