リスクオンでもドル安円高、いつまで続くのか JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏に聞く
中長期でドルが下落していく構造がある
――ドル円がアメリカ大統領選挙をきっかけに1ドル104円を割りました。
株式市場を見てもわかるようにバイデン優勢でリスクオンモードである。だが、中長期的にみてドル安円高方向へ動いている。これは円高ではなくドル側の要因によるドル安の動きだ。
新型コロナ危機をきっかけに変わった。アメリカが金利をゼロにしているので、ドルは弱くなっていく。ドルの名目実効レートは下落を続けており、2019年の水準まで下がった。
――FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和政策の転換が大きいということですね。
ドル安が長期間続く要因として、3つある。FRBがゼロ金利政策を続けることに加え、さらに今回の危機でアメリカは財政も日本以上に大幅に拡張しているので、期待インフレ率が上昇して、実質金利がマイナスとなっていることだ。そのため、日米実質金利差もアメリカのほうが低くその差は拡大している。さらに、米国は経常赤字国なので、通貨は売られやすいという基本的な構造がある。2~3年はドル安傾向が続くだろう。
リーマンショック(2008年9月)後も同様の動きで、金融緩和が行われ株価が回復していく中でドル円は2011年の1ドル=76円まで下落していった。このときはまだアメリカの長期金利は2%あったが、今は1%を割っている状態だ。
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