トランプ大統領が「大善戦」した真っ当な理由 なぜマスコミも世論調査も再び間違えたのか

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アメリカの大統領選は、熱烈なトランプ支持派は健在でも「バイデン圧勝」のはずだった。なぜそうならなかったのか(写真:AP/アフロ)

いやはや、どんでん返し続きの1週間であった。

11月3日のアメリカ大統領選挙直前までは、「(ジョー・)バイデン圧勝」「上院でも民主党の多数が実現へ」という見方がもっぱらだった。民主党がホワイトハウスと上下両院の計3つを「3連単」でゲットすると、これはオバマ政権の最初の2年(2009年から2010年)以来の「トリプルブルー」が実現することになる。

なにしろ期日前投票数が1億人を超えた。前回、2016年選挙の総投票数が約1億3900万票であるから、とてつもない高投票率となることは必定であった。これはてっきり「ブルー・ツナミが来るぞ!」と筆者も確信したものであった。

やっぱり「レッドミラージュ」だったのか

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ところが蓋をあけてみると、ドナルド・トランプ大統領は大善戦であった。フロリダ、オハイオ、テキサスといった激戦州をことごとく競り勝った。

やはり今回も世論調査は外れた。「隠れトランプ」は存在した。世論調査というものは「高学歴の人」は参加してくれるけれども、そうでない人はあまり協力してくれない。前回2016年選挙では、そのために「トランプ支持層」を過小評価してしまった。そういうバイアスは、今回はちゃんと修正しましたと言っていたのだが…。

議会選挙でも共和党が善戦し、上院における多数は守られそうで、下院などは議席数増の見込みも出てきた。トランプさんは現地時間4日の午前2時には「祝いの準備は整った」と余裕の発言を行った。

しかるにそれは「レッドミラージュ」であったのかもしれない。投票日当日に投票するのは共和党支持者が多いから、当初の開票は共和党が強く出る。時間がたつにつれて郵便投票分の開票が進み、民主党支持者の票が多くなる。ゆえに時間とともに共和党の優位はミラージュ(蜃気楼)になるのではないか、と警告されていたのである。

一夜明けたらウィスコンシン州やミシガン州がひっくり返り、今度はバイデンさんが過半数の選挙人数270に「王手」をかけていた。残りの州の票の空き具合を見ると、どうやら優位は動かない模様。バイデンさんは国民に平静を保つことを訴え、「最後まで開票を待とう」と呼びかけた。今度はこちらが余裕を見せている。

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