もちろん、ここで素直に負けを認めるようなトランプさんではない。僅差で負けた州の再集計を要請すると同時に、「郵便投票で不正が行われている」と投票日以降の集計を打ち切るように求めている。とにかく切れるカードは全部切ってくるはずだ。
せっかく「6人目の保守派判事」を送り込んだばかりの最高裁が、どんな判決を出すか試してみたい。テレビ討論会で、”Stand back, stand by.”(一歩下がって待機していろ)と伝えた白人至上主義集団「プラウド・ボーイズ」たちにも出番を作ってやりたい――いや、そんなことをされると、物騒なことになりかねないから困るのだが。
これから先のトランプ戦略については、前回の「米大統領選、開票日に絶対見るべき1州はどこか」でも書いたとおりである 。法廷闘争などあらゆる手段を動員し、未確定の選挙人を増やして憲法修正12条にある「下院決戦投票」に持ち込む。あるいはそれをカードに、何らかの「ディール」を目指す。とにかく黙って引き下がることだけはない。「トランプ劇場」はまだまだ終わらないのである。
マーケットはあまりにいい加減すぎる?
それにしてもマーケットとはつくづく現金なものだ。直前までは「選挙はバイデンが大差で勝つ。トリプルブルーは株式市場にプラスだ」などと解釈されて上昇した。増税はあっても、それ以上に財政支出が多くなるから、という理屈である。
おいおい、それだと民主党新政権はアンチ・ビジネスに向かうのではないか。彼らは過激なアジェンダ(議題、実現したい政策)をいっぱい持っている。議会も民主党が多数となると、バイデン新大統領は党内左派の突き上げを食らって、どんどん社会主義的な方向に向かうんじゃないだろうか。
開票後、選挙の雰囲気は一変した。それでもアメリカ株は上げ続けた。日経平均株価は久しぶりに2万4000円台を回復したどころか、一気に6日の終値は2万4325円となり、29年ぶりのバブル後最高値更新(終値)だ。今度は「トリプルブルーの可能性が消えたから株高」というロジックである。おいおい、どっちが正しいんだ。お前たち、要は何でもいいから、株さえ上がればいいのかよ?
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