もっともな作戦ではあるけれども、最高裁判事の任期は終身である。いくら恩義があるにしても、ここで見え見えのトランプ支援判決を出すだろうか?上院公聴会の流れを見ていると、そこは簡単ではないような気がする。
また、上院における共和党多数を維持するために、ミッチ・マコーネル院内総務が「あえて採決を投票日以降に延期」する可能性も無視できない。マコーネル氏の立場になってみれば、今やトランプ再選よりも上院における多数を維持する方が大事なのである。何しろ負けた瞬間に自分は少数党の院内総務に転落して、上院を差配する権限を民主党のチャック・シューマー上院議員に譲り渡すことになってしまうのだ。
まさかの「下院決選投票」に持ち込むか
ところがトランプさんにはもうひとつ、逆転のシナリオがある。それは憲法修正第12条を適用して、下院における決選投票に持ち込むという筋書きだ。選挙人の過半数を占める候補者がいなかった場合、「もし何人も右の過半数を得なかった時は、大統領として投票された者のうち、3名を超えない最高得票者の中から、下院が直ちに秘密投票により大統領を選任しなければならない」という規定がある。1824年に1回だけ行われている。
下院の決定であれば民主党が有利、と思ったらさにあらず。現状は民主党232議席対共和党198議席(欠員5)となっているのだが、憲法修正第12条では「各州に1票ずつ割り当てられて」カウントすることになっている。カリフォルニア州が1票なら、アラスカ州やワイオミング州も1票となる。現時点では共和党多数州が26州、民主党多数州は22州、残り2州は同点となる。つまり憲法修正12条が発動された場合は、トランプ再選ということになりそうだ。いやはや、恐ろしい。
いったいどうすれば2020年選挙は片が付くのか。これは筆者の妄想だが、民主党はトランプ・ファミリーがおとなしく負けを認めてくれるように、何らかの取引をするしかないのではないだろうか。「訴追はしませんし、御社の営業活動も応援します。どうか穏やかにワシントンから出て行ってください」、などと。もちろんそんなことをすれば、次期政権の正当性には大いなる疑問符がついてしまう。とはいえトランプさんは、最初からそのつもりで、いろんな伏線を張ってきているような気がするぞ。
ともあれ、マーケットから見た場合、アメリカ大統領選挙は11月3日から翌年1月20日までの大いなる不透明性を投げかけてくる。しかしどこかで決着するだろう。早く決着した場合はポジティブサプライズだ。そうでない場合も、年明け1月20日までの辛抱となろう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。
あらかじめご了承ください)。
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