ところが今年は、全体の5割から6割が郵便投票になると言われている。前回2016年選挙の投票数が約1億3000万票。仮に郵便投票が8000万票と考えると、なにしろ前代未聞の規模なので、開票にどれくらい時間がかかるか見当がつかない。それでも投票日以降、時間が経過するにつれてバイデン票が伸びるので、今度は民主党側が勝利を宣言することになるのではないか。これでは確実に揉めるだろう。
郵便投票を処理する際は、選挙管理人はまず本人確認をして(事前に登録したサインと照合する)、郵便を開封して、投票用紙をスキャンして、それから集計作業に入る。ところがこの処理のルールが州によって違う。ほとんどの州では、11月3日の投票日が過ぎてから開票作業に入る。激戦州と呼ばれるペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州などは軒並みそうなので、結果が出るまで時間がかかること必定である。
11月3日の開票速報の日はまずフロリダ州を見よ
ところがフロリダ州のルールでは、「到着分の郵便投票はどんどん集計作業をしてよし」なのである。だから11月3日の投開票日から、遠からず結果が出てしまう。ここでバイデン勝利が判明してしまうと、「フロリダ州を落としてトランプ勝利」となる組み合わせは多くないので、トランプさんの立場は一気に悪くなってしまう。だからここだけは勝たなければいけない。ゆえに開票速報の日には、まずフロリダ州をご覧あれ。
実はアメリカ大統領選挙において、勝利宣言はあまり意味がないのである。むしろどちらかが敗北宣言をした瞬間に、万歳三唱や勝利インタビュー、祝電の送付などが可能になる仕組みになっている。
それではどちらかが負けを認めるつもりがなく、結果に難癖をつけ続けたらどうなるか。恐ろしいことに、そんなことは誰も想定していないのだ。そしてトランプさんはとことん粘る構えである。だからこそ、郵便投票は信用できない、と言い続けてきたのだから。
つまり「11月3日にどちらが勝つか」という毎度おなじみの予想は、今回はあまり意味がない。むしろ2020年選挙はどうやったら決着できるのか、を考えなければならない。
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