新型コロナで明け暮れた2020年も10月となり、4月をスタートとする年度ベースでは第3四半期、西暦ベースでは第4四半期に入った。そろそろ世の中が落ち着くかと思えば、まったくそのようなことはなく、1日には東京証券取引所の取引がシステムトラブルによって終日停止した。そして、翌10月2日の日本時間の午前中にはアメリカのドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したという、冗談のようなニュースが飛び込んできた。
うそのような10月なのに「市場は案外しぶとい」
東証の売買停止とトランプ感染に直接的な関係はないが、トランプ感染は株価に影響のある(日経平均はしばし急落した)イベントだったので、2日の取引が始まってからのニュースで、東証はほっとしたことだろう。
もしニュースが取引の開始前であれば、「前日手仕舞いができなかったので、こんなに損をした」というクレームの数とサイズがずっと大きかったはずだからだ。予想外なイベントが続いたが、その後の経済と市場は案外いつもと変わらない印象で動いている。経済と市場は「案外しぶとい」ものだという感を強くする。
本欄の筆者であるオバゼキ先生(小幡績氏)の前回の原稿「日本人はドコモの高い携帯料金に甘んじている」によると、大統領選挙までかんべえ先生(吉崎達彦氏)が毎週原稿を書くとよく、2021年にバブルが崩壊したらオバゼキ先生が毎週本欄を書くのがいいらしい。私は「招かれざる筆者」のようなので(笑)、執筆機会があるうちに書きたいことを書いておこう。
3流プロレスの筋書きを予想するがごとき「トランプの次の一手は?」的な当面の話をしばし離れて、資本主義の今後について考えてみる。
このテーマについてオバゼキ先生のファンは、先生の新著『アフターバブル 近代資本主義は延命できるか』(東洋経済新報社)を是非読んでほしい。賛否いずれの立場の読者にとっても、「ぼんやりとした感想」を許さない、刺激に満ちた力作だ。
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