敗北を認めないトランプ大統領は何を狙うのか 「トランピズム」は死なず、「2024年」視野に活動

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それでも、通常、大統領選は片方の候補の敗北宣言により事実上終了する。これは1896年大統領選でウィリアム・ジェニングス・ブライアン候補(民主党)がウィリアム・マッキンリー候補(共和党)に敗北を認める書簡を送付して以来、続いている伝統だ。しかし、法律あるいは憲法は、敗北宣言を行わなければならないと定めてはいない。敗北を認め平和的な政権交代を行うことはあくまでも慣習として歴代の大統領候補が従ってきたことだ。

2000年大統領選でフロリダ州の開票をめぐり争いとなったジョージ・W・ブッシュ候補(共和党)対アル・ゴア候補(民主党)の対決では、選挙人が確実に投票するための安全網として選挙結果を確定する「セーフハーバー」指定日の直前に、連邦最高裁判所が再集計中止を判断し介入した。だが、その最高裁判所の判断自体ではなく、判断を受けて敗北宣言したゴア氏の行為が事実上、大統領選の幕を閉じた。仮に同氏が最高裁判所の判断を受け入れていなければ、その後も両候補の争いは続いて大混乱に陥っていたであろう。

しかし、今回はトランプ氏が、ゴア氏と違って、潔く負けを受け入れないと思われる。トランプ氏の今後の行動次第ではあるが、2020年大統領選はいつまでも終わらず、社会不安が広がるリスクさえある。

司法は望み薄く、支持者へのアピールが狙い

トランプ選対本部は、現在、司法で争うため資金集めに必死だ。バイデン当確が報じられた11月7日だけでも支持者に対して約20件の募金を要請する電子メールを発信している。

トランプ氏は選挙キャンペーン中から郵便投票を不正と訴えるなど、そうとう前から選挙結果をめぐる争いに備えてきたといえよう。だが、トランプ陣営の法廷闘争はことごとく失敗に終わる運命にある。2000年大統領選のフロリダ州再集計をめぐる法廷闘争でブッシュ候補の首席弁護士を務めたバリー・リチャード氏は、トランプ陣営の提訴はまったく法的根拠に基づいていないと語っている。

2000年大統領選の法定闘争で、共和党は大物政治家ジェイムズ・ベーカー元国務長官も投入し臨んだ。現在、大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問は、ベーカー氏のような人物を探しているという。しかし、現在のところ、法廷闘争にトランプ陣営が投入している政治家はトランプ氏の個人弁護士ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長などであり、2000年のブッシュ氏のときと比べ影響力は大幅に落ちている。

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