3)母・息子ともにSNSを使いこなす
母親と面と向かって会話をするのは恥ずかしいが、普段から気軽に連絡を取り合ったり、LINEのスタンプの利用により、友達のような日常的なコミュニケーションが取りやすくなっている。
今の若者たちは、SNSを通じてさほど親しくない知人ばかりが増えていくが、気を許せる友達はなかなかいない。そんな中、むしろ、母親はいちばん身近で、大事な友達とも呼べる存在として、見直されているのではないだろうか。
原田の総評: 「母・息子」消費は確実にある
以上、現場研究員たちのリポートでしたが、いかがだったでしょうか?
母と息子の関係が良好になっていること、そして、(少なくとも彼らにとっては)周りから見られてあまり恥ずかしいものではなくなっていることに、ちょっと気持ち悪く感じられた方も、よく考えれば「いいことじゃないか」と思われた方もいたかもしれません。
もちろん、今回ご紹介した例は、「さとり世代」全体から言えば、やや極端なもので、普通の男子は、これらの例ほどではないかもしれません。
しかし、私が普段、たくさんの若者たちと接していても、「母親と買物に行く」「母親とお茶に行く」といった程度であれば、あまり抵抗がなくなっている男子がとても増えているように思います。「母親に恋愛相談をする」といった男子の例もよく目撃します。就職セミナーや内定式に、母親が息子の代わりに、あるいは、一緒にやって来る、といった例も、ちょこちょこメディアで報じられています。
母と息子の関係がこうなった理由は、現場研究員たちも分析してくれているように、①若者の反抗期が減った、②母親世代が若々しくなった、といったことが挙げられるかもしれません。
①について言えば、私が若者研究を始めた2002年ごろにはすでにこの傾向が見られ始めており、私の処女作である、今の20代後半が10代だったときの姿を描いた『10代のぜんぶ』(ポプラ社)の中でもこれを指摘しており、おそらく年々この傾向は強くなっているのだと思います。
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