なぜ若者たちは「マザコン」化するのか? いまだかつてない、「母・息子」関係

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「やる気がない」「消費しない」などと、上の世代からは散々な言われようの20代。平成不況の最中に生まれ育ち、何かと”悟って”しまった彼ら「さとり世代」の知られざる生態とは? 気鋭の若者研究家、原田曜平さんと、現役の「さとり世代」の若者たちがレポートします。

 

「さとり世代」という言葉を聞いたことがありますか? 1980年代半ば~1990年代半ばに生まれた世代、つまり、俗に言う「ゆとり世代」のことなのですが、本人たちは「ゆとり」だと言われることを心底、嫌っています。

平成不況のど真ん中に生まれ、インターネットが急速に普及するなど激動の時代に育った彼らは、すさまじく冷静に物事を見る傾向があります。心情的にはゆとりとは程遠く、むしろ、大変な世の中を見るうちに「悟ってしまった」……。そうしたことから生まれた「さとり世代」という言葉は、彼らにとってもしっくりくる呼び名のようです。

さとり世代については、原田氏の著書『さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川書店)にも詳しい

さて、この連載のタイトルは「さとり世代は日本を救うか?」です。上の世代からは、「やる気がない」「消費しない」などと批判されがちな彼らですが、仮にそうだとして、それはいったいなぜなのか? 一般にはあまり知られていない、さとり世代の生態や本心を浮き彫りにすることが、この連載の目的です。

彼らはいまだ十分に開拓されていない重要な消費者でもあります。この連載を通して彼らの真のニーズを探り、商品開発やマーケティングなどのヒントなどとしても、お役立ていただければと思っています。

現代のマザコン事情?

今回、第1回目のテーマは「現代のマザコン事情」です。

かつて、日本には「マザコン」という言葉がありました。おそらく今でもマザコン男性の象徴と言えば、テレビドラマの「ずっとあなたが好きだった」(TBS系で1992年放送)の登場人物である、佐野史郎さん演じる「冬彦さん」かもしれません。当時、このドラマは高視聴率をたたき出し、「冬彦さん現象」と呼ばれ、「マザコン」「冬彦さん」はこの年の流行語にも選ばれました。

同じくテレビドラマの「橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり」(TBS系列で1990年から2011年まで断続的に放送されたドラマ)でも、ひとつのテーマとして深刻な「姑と嫁」の関係が描かれましたが、これらのように、かつて、母と息子が仲良しであることは、日本社会ではタブー視されてきました。

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