ところが、今どきの「さとり世代」の男子の中には、思春期でありながら、どうやらお母さんとかなり親しい関係であることを公然とPRする人たちが、増えてきているようなのです。
その現象について、私がリーダーを務める「博報堂ブランドデザイン若者研究所」の現場研究員たちがリポートします。現場研究員は一般の高校生から若手社会人まで、約100人で構成されている若者たちで、日々、現場のナマの情報を収集しています。
母を全力でもてなす息子たち
近年、母と息子の仲むつまじい写真をツイッターやフェイスブック上でやたらと多く見かけるようになった。
買い物から犬の散歩、外食、さらには一緒にコンサートに行くなど、日常風景から、母と“大きな息子”たちの親しさが感じられる。特に気になるのは、息子たちがやけに楽しそうなことだ。また、周囲の若者たちからも、「うらやましい」といった、賞賛に似た感想が寄せられることも多い。
かつて、成人年齢に達しても、母親と親密な関係を続ける息子は、「マザコン」と呼ばれ、「キモイ」と敬遠される存在だったはずだ。それがなぜ今、「堂々とアピール」し、周囲からも認められる存在になったのか?
今回、その“ニュータイプ”たちを、旧型の「マザコン」と区別するため、「ママっ子」と名付けてみる。そして、その実態と背景を探るため、お母さんと仲がいいとうわさの大学生たちにインタビューをしてみた。
毎朝、布団にもぐりこんでくる母
まずインタビューしたのは、墨田区の実家に暮らす男子大学生(22)。彼は、母親のことを、「まきこ」と呼ぶ。母親は美容やおしゃれに敏感、若々しい印象の人だ。
さて、2人の普段のやり取りを紹介しよう。左の写真は、彼の母親による、ある日のフェイスブック上の投稿だ。大学生の長男がクリームパスタを作ってくれた、という内容だが、息子にとって、こうした「母へのもてなし」は、ごく当たり前の日常らしい。
「月に数回、スーパーまで車を運転し、荷物持ちをします。その後、お母さんに晩ごはんを作ってあげたりします」(息子)。「そのほかに、毎週、一緒に買い物に行きます。お母さんはオシャレでセンスがいいと思うので」。
彼に反抗期はなく、ずっと母親とは仲がいい関係を保っているという。母親は、今でも朝、なかなか起きてこない息子の布団の中にもぐり込み、「起きて~」とやるそうだ。
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