異動だらけ「日本的な働き方」がついに終わる日 「ジョブ型」への移行は一気に加速する

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本人のスキルが高ければ若手も大胆に抜擢される機会が増えますが、これも、両刃の剣。多くの若手社員はこれまで会社が提供する人事異動や研修によって学ぶ機会が得られていたわけですが、若くしてジョブ型に転換すると、まだ十分なスキルが身についていない段階なだけに、大変な苦労をする可能性があります。

ちなみに海外で若手層の失業率が高く、給与が低い背景には、ジョブ型による影響があるとも言われています。新卒社員が日本のように“金の卵”と大事にされることも少ないようです。ジョブ型を導入すると専門性の低いシニア・ミドル層が大変と言われていますが、それだけでなく広い層に影響がありそうです。

このようにデメリットも小さくありませんが、それでも、日本企業のジョブ型導入の機運は続きそうです。さまざまな面倒も覚悟したうえで、「まずはやってみようか」という動きが強まっているように感じます。

働き方転換には時間と覚悟が必要

それでは、総合職で勤務している人は、この環境変化にどのように向き合っていけばいいでしょうか。

会社と社員で分けて、考えてみたいと思います。まず会社としては、現場のコンセンサスに時間をかけることが重要ではないでしょうか。とくにマネジメント層は大きく転換が求められます。会社や組織のための献身性を求めることが難しくなります。

例えば、「部門の売り上げのためにお願いしたい」という要望で社員は動かなくなります。「チームの業績アップが評価項目の50%だから、頑張ってください」とメリットを提示して、自分のために仕事に取り組む姿勢を応援するくらいのスタンスに変えなければなりません。いわゆるサーバントリーダーシップが必要になります。

こうした転換を理解して取り組んでもらうためには、ジョブ型に変わりましたと説明会を開いたくらいでは難しいものがあります。会社としてのマネジメント方針が大きく変わったことを理解できるように、時間をかけて説明機会を設け、コンセンサスを高めていく。コンセンサスが得られないマネジメント層の人には交代してもらうくらいの覚悟が必要でしょう。

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社員では、とくに若手社員の層は、会社に頼らずにキャリアアップに取り組むくらいの意識が必要かもしれません。経験を積ませて育てるよりは社外から新規採用する。年齢も関係がなくなることで、年功序列の恩恵は受けにくくなります。厳しい職場環境への転換とも言えます。勤務時間外を活用してキャリアの棚卸をしたり、新たなスキルを身に付ける学びの機会を自ら作るべきかもしれません。

果たして、ジョブ型はどこまで日本に浸透するか。成果主義などをやってみて状況的に厳しいと、すぐに撤回する。あるいは経営陣が交代したので、方針が180度転換、成果主義は撤廃となり、現場が大混乱。方針をころころ変えて、業績まで悪化する会社もたくさん見てきました。そうならないよう、実施する企業の経営者や担当者は、長く続けていく前提で計画してみてください。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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