異動だらけ「日本的な働き方」がついに終わる日 「ジョブ型」への移行は一気に加速する

✎ 1〜 ✎ 198 ✎ 199 ✎ 200 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、若いころに営業店に異動するときに「人事の仕事を極めたい……」と、人事部への異動希望を口頭で上司に伝えたことはあったようです。すると「自分の配属先を決めることはできない」と上司にたしなめられてしまい、以後は異動希望を口にすることはなかったそうです。20年以上前は専門性を極める働き方なんて一般の会社員では考えられなかったので、無理もない話です。

ちなみに以前から銀行のような大企業では、「専門職制度」と呼ばれるジョブ型に近い働き方自体は、存在していました。ただ、極めて特異な才能をもった人材を処遇するか、マネジメントが苦手な社員を活かすために準備された受け皿にすぎず、王道といえる働き方ではありませんでした。そのため注目度も低かったのですが、ジョブ型の導入が進むならば、状況は大きく変わります。

もしかしたら、今度は総合職のほうが傍流になってしまうかもしれない。いったいどこまでジョブ型は広がるのか? みなさんと考えていきたいと思います。

「ジョブ型」を導入、離職率が大幅減に

もし厳密にジョブ型の働き方を選ぶとなると、「ジョブディスクリプション(JD)」つまり職務記述書により、職務や勤務地、労働時間などを明確に定めて雇用契約を結ぶ必要があります。

極論を言えば、JDに書かれていない仕事をする義務はありません。例えば、後輩社員への指導がJDに書かれていなければ「やる必要がない」と断ることがあっても問題なし。何となく日本企業で行われてきたOJTが必要なのであれば、各自のJDに記載しておく必要が出てくるのです。

日本企業ではソフトウェアを提供するサイボウズが、ジョブ型を導入する企業として有名です。どうしてジョブ型に変えたのかと言えば、大きな理由は人材の確保のためだったとのことです。メンバーシップ型で、専門性が報酬に反映しづらい状況では、同業他社からの社員の引き抜きに条件面で勝てない。そのため、離職率が高止まりした状態になっていました。

同業他社は外資系が大半。優秀なエンジニアであれば、何倍もの報酬が提示されるので引き留めは難しい状況だったといいます。そこでジョブ型に人事制度を変えて、スキルに応じて柔軟な報酬が支払えるようになり、離職が大幅に減ったとのこと。同じような理由からジョブ型の働き方に変えたベンチャー企業が何社もあります。

次ページコロナ禍が働き方の改革を後押し
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事