「40男それなりのものを持ってないとダメ」問題
田中:僕、40代になって、30代の人から「名刺入れは何を使ってるんですか?」とか、持ち物について聞かれるようになることが増えたんです。どうしてだろうと不思議に思っていたんですが、あるとき、市民講座で30代後半の男性参加者から、「田中先生もG-SHOCK派で安心しました」と言われてハタと気づきました。
山田:どういうことですか?
田中:その発言には、「時計なんて、時間が正確で丈夫ならいいですよね? 40代になったからといって、ブランドにこだわらなくても平気ですよね?」というニュアンスが込められていたように感じます。つまり、30代までは自分の好きなものを使っていてもいいけど、40代になったら時計や財布はそれなりのものを持たなきゃいけない、という世間からのプレッシャーがあるのではないかと。それ以来、同世代の男性に会うと、腕をチラチラ見て時計を気にするようになってしまって(笑)。
山田:もっとしっかり見え張ったほうがいいんじゃないか、と?
田中:30代の人から、「40代の人にはちゃんと見えを張っていてほしい」と言われているような気がして。僕自身は、時計なんて時間がわかればいいや、くらいの感覚でいるのに、他人から「なんだ、G-SHOCKか」と思われていたらどうしようっていう気持ちもあります。
山田:それは、田中先生が最近ちょっとテレビに出たりして売れてきて、てんぐになってるからじゃないですか?(笑)
田中:そんなことない! と思いたいです(笑)。だから、いっそApple Watchにしちゃおうかな、なんて思ったり。「時計は価格のマウンティングになっちゃってキリがないから、Apple Watchで逃げる手もある」というネット記事を見たんですよ。Apple Watchに高いも安いもないので、逃れられるじゃないですか。
山田:Appleの意図とまったく違う使われ方! そう思うことがすでにめちゃくちゃ囚われてますよね。自意識過剰ですよ(笑)。まあ、そういう僕も、今している時計は20万?30万するヤツですけど、どこのブランドでどういうモノか全然わかってないです。「これぐらいのしとけばいいんでしょ?」という感覚ですね。
そういえば、うちの奥さんは、僕が4、5年前にあげた15万くらいするLOUIS VUITTONの財布を使ってるんですけど、2年くらい前から誕生日が近づいてくると、「財布が黒ずんできたなあ」とかアピールしだす(笑)。聞いてみたら、「もう今より安い財布は持てない」「もうCOACH とかは持てない」みたいなことを言いはじめて。