職場の不満を把握して、状況を改善する活動に取り組む会社が増えてきました。
これは「ESサーベイ」と呼ばれ、Employee Satisfactionの略。従業員の意識を明確にして、課題(不満)を見つけるため、
「上司の指導は的確ですか?」
「経営方針は現場に伝わっていますか?」
などと、業務内容・職場環境・人間関係・ロイヤルティーなど、社員に対してさまざまな切り口から質問を投げかけます。
次に質問の回答結果を定量的な数値に直し、分析。組織の活性化の度合いや職場環境の現状、社員が感じている組織のいい点と悪い点=課題などを浮き彫りにします。そして、課題を解決するための打ち手を決めて実行。社員のモチベーションや生産性向上につなげることを目指しています。
現在、人事業界界隈ではかなり認知度があり、導入企業も多い調査手法となっています。
ただ、もっと手軽に、高頻度に実施したいとの要望から、別の手法を模索する会社が出てきました。その手法の1つがパルスサーベイ。
パルスとは脈拍のこと。脈拍のチェックをするように、頻度の高い質問を繰り返して健全度合いを測る方法。すでに導入して具体的な成果を出している会社も出ているようです。では、パルスサーベイがどのような成果につながっているのか? 逆に弊害はないのでしょうか。あるべき姿について考えていきたいと思います。
適当に回答するだけになりがちだが…
ESサーベイを毎年行っている製造業に勤務しているSさんは、同じ時期に同じ質問に回答してきました。設問数は100以上にのぼり、回答期限までの期間も短く、人事部から送られてくるとため息をつきながら回答してきました。
ただ、回答の手間以上に不満を抱いていることがありました。それは回答結果に対するフィードバックが1回もない。さらに回答によって職場が改善された気配が1つもないということです。
ゆえに回答へのに意欲が高まることがなく、ざっと適当に回答するだけになっていました。
Sさんだけでなく、職場の大半が適当に回答する状態に陥っているようでした。人事部が社員の回答結果を集計すると明らかに中心化が顕著に出ており、まじめに回答していない状況がみえる状態になってしまっていたのです。
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