ここでいうエンゲージメントとは社員の会社に対する愛着心や思い入れといった意味。このような感情は多くの場合、会社の努力もあって初めて社員側に生じるものです。 そのため、最近では「個人と組織が対等の関係で、互いの成長に貢献し合う関係」のことを指すとされています。このエンゲージメントの重要性が高まり、向上の努力を意識するようになってきた背景からパルスサーベイを行う会社が増えてきたのだと思います。
パルスサーベイは人事部の負担が大きい
ある専門商社では経営陣から人事部に「パルスサーベイを来年度から導入するように」と指示がありました。その理由を聞くと「同業他社が導入して成果があがっていると新聞記事でみたから」とのこと。よく聞く、横並び意識からのことのようです。
ただ、人事部からすれば大変な作業が追加されることになります。パルスサーベイは実施する頻度が多く、実施・集計で負担が大きなものになります。さらに、実施後にサーベイで点数が悪くて離職リスクがあるくらいの社員がたくさんいれば、そのフォローを行うのも大変。人事部が面談や人事異動を行う段取りを組む必要があります。
そもそも人員が潤沢な人事部なんて聞いたことがありません。働き方改革で勤務時間を減らすように社内で指導する立場にもかかわらず、残業時間がいちばん多い。その理由がパルスサーベイの運用や対応であるといった会社も出てきているようです。
加えて、継続するのは大変。回答してくれた社員たちの回答率が下がってきてしまった。部下の負担が多いからやめさせてもらいたいと言い出す管理職が出てきたといった壁に直面することが多いようです。
継続することでデータがたまり、そのデータを活用することで適切な対策が打てるようになります。なので、1年と言わず3年くらいは継続することでみえてくることがたくさんありますが、それだけ続ける根気が経営と人事部にあるのか? 問われているとも言えます。パルスサーベイで成果を出していくには時間がかかることを覚悟する必要があるのです。それでもやっていける企業はあるのでしょうか?
パルスサーベイがすべての社員に必要かといえば、そうとは限らないと思います。例えば、社会人として経験豊富な幹部人材にまで、高頻度で質問をぶつけて不満をあぶり出す必要があるのか? 会社がしっかりと関係をもち、不満を聞く必要があるのは育成段階の人材ではないでしょうか?
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