急増する「人事部アンケート」は職場を変えるか 「職場への不満」を解消しようとする会社が増加

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本来は回答結果を分析して、導かれた課題に対して対策を打つことで、社員は「会社が変わろうとしている」と感じて意欲も高まるものです。ゆえにサーベイで聞くということは、対策を打つ覚悟が必要と言えます。その前提を踏まえて取り組むべきなのに、その意識が希薄なままで行っていたのではないでしょうか? 

だとすれば逆効果なのでやめたほうがいいかもしれません。そもそも、会社が職場環境について社員に聞くのは離職やモチベーションのダウンを避けたいから。そこでできもしない衛生要因の質問など避けて、

・仕事は楽しいですか?
・仕事は忙しいですか?

直球の質問を2-3件に絞って行う。ただし、上記のような質問の回答は日々変わる可能性がある。そこで、社員に頻繁に聞いて傾向をあぶり出そう……という発想から、パルスサーベイに注目が集まるようになりました。

ただ、少ない回答でも頻度が増えると運用担当の負担が大きくなります。その負担を軽減できるツールが数多く登場したことも、実施しやすさに拍車をかけることになりました。

パルスサーベイの導入が加速する要因

Sさんの会社ではESサーベイをやめずにパルスサーベイも並行して導入されました。すると週に1回、上記のような質問がメールに飛んでくるようになりました。負担がさらに増えましたが、回答はアイコンのような3つのマークの1つをクリックするだけ。大きな負担にはなりませんでした。

さらに仕事が楽しくない。仕事が忙しくないと回答する期間が続いたら、人事部から連絡があって面談のセットが行われました。

Sさんはいまの職場で任されている仕事が物足りない。もっと難度の高い仕事に挑戦したい。それができない時間が長く続きそうなら転職しようと考え始めたタイミングでした。その気持ちを人事部にぶつけたところ、半年後に辞令が出て、本社の経営企画に異動忙しいけれど、楽しいと感じる状況になり、転職は考えないようになりました。

このように社員の直球の気持ちやコンディションを把握して、アラートが出るような状態の社員が見つかれば即座に対応をする。こうした取り組みと連動しやすいこともパルスサーベイの導入が加速する要因かもしれません。加えて、パルスサーベイはエンゲージメント向上につながると言われています。

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