財政調整基金の積立額が多いほど、突発的な不測の事態に対して、十分かつ迅速な対処ができる。しかし、財政調整基金の元をたどれば、住民が支払った税金だ。過度な積み増しは好ましくなく、自治体の一般財源の標準的な規模を示す「標準財政規模」のおおむね10%が目安とされている。
総務省が全国の自治体に対して行った「地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査」でも、財政調整基金の規模の考え方は次のような結果になっている。
「決算状況を踏まえ、可能な範囲での積立て」とする市町村が76%と最も多い。次いで「標準財政規模の一定割合」とする市町村が22%となっている(市町村には一部事務組合を含まず、回答は複数選択可)。
また、「標準財政規模の一定割合」として回答した市町村の具体的な積立水準は、「5%超10%以下」が39%で最も多く、次いで「10%超20%以下」が38%となっている。
このことから、実務上も多くの自治体が決算状況を前提として、標準財政規模に対して5%から20%の範囲内の財政調整基金の積み立てを目標としていることがうかがえる。
"貯金"が最も多いのは気仙沼市
これらを踏まえ、標準財政規模に対する財政調整基金の比率を見ていく。全国市町村のうち「市」を対象としたランキングでは、財政調整基金に「震災復興特別交付税」が含まれる気仙沼市(宮城県)が最も比率が高く1位になった。
人口が815市区中808位の珠洲市(石川県)が56位、同811位の室戸市(高知県)が66位に。ランキング上位100市のうち、人口が10万人を超える市は5市のみと、人口の少ない自治体が上位となる傾向が見られた。
一方、全国市町村で最多の人口を擁する横浜市(神奈川県)が下から19位に。全国に20ある政令指定都市のうち17市が下位100市に入るなど、人口の多い自治体が下位となる傾向が確認できる。
同様の傾向は「町村」を対象としたランキングでも見られる。町村1位は、原子力発電所が立地し、以前から財政基盤が強固な女川町(宮城県)。全国市町村で人口が最も少ない(原発事故による避難指示区域となった福島県の町村を除く)青ヶ島村(東京都)が2位となった。
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