「貯金の多い・少ない市町村」全国ランキング400

コロナで表面化した自治体の対応能力の差

ランキング全体を俯瞰しても、人口が多い自治体ほど、標準財政規模に対する財政調整基金の比率が10%に満たない自治体の割合は多い。

このような人口と財政調整基金の関係の主な要因としては、(1)国からの財政移転、(2)将来への備え、(3)合併が考えられる。

国は、自前の収入だけでは財源が不足する自治体に対して、地方交付税を中心に、必要な行政サービスを実施するための財源を保障しているが、人口の少ない自治体に対して、より手厚く分配されるよう「歳出特別枠」として調整がされてきた。離島や山間部の自治体に対しては、各種補助金も支出される。

また、前出の総務省の調査で、財政調整基金の増加要因の上位は「公共施設等の老朽化対策等に係る経費の増大への備え」「災害への備え」「社会保障関係経費の増大への備え」となっている。

人口減少と少子高齢化が進む、規模の小さな自治体では、将来に備えて財政調整基金を積み増す動機がより強いと思われる。人口の少ない自治体では、手厚い支援を受けることができ、かつ、そこで生じた剰余金が将来に備えて積み立てられていると推測される。

加えて、市町村が合併した場合、激変緩和措置として合併後の一定期間は旧市町村が別々に存在するものとみなして、それぞれの地方交付税を合算した額を受け取ることができる。

過去に合併を経た規模の小さな自治体が、原則的な額よりも多い地方交付税を受け取ったことと、緩和期間経過後に地方交付税が減少するのに備えて財政調整基金を積み増していることも、人口の少ない自治体で財政調整基金が相対的に大きくなる要因の1つと推測される。

「大規模自治体は大丈夫」ではない

当然、自治体の財政事情は人口だけによるものではなく、すべての自治体がそれぞれの事情を抱えている。人口が少なく財政が苦しい自治体や、人口が多くとも強靭な財政基盤を誇る自治体も存在する。

しかしながら、少なくとも不測の事態への対処という点で、「大規模自治体は余裕があるから大丈夫」ということはない。大阪、神奈川、福岡など都市部で多くの感染者が発生しているが、非常時には国が調整機能を発揮して、大規模自治体も含めた十分な支援が必要といえる。

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